2020年02月07日 1611号

【みるよむ(543) 2020年1月25日配信 イラク平和テレビ局in Japan 宗派の私兵に対するイラク市民の怒り―グローバル資本に立ち向かう闘い―】

 サナテレビがこの映像を撮影した2019年11月30日、イラクのアブドルマハディ首相は辞任を表明した。しかし、イスラム政治勢力は宗派の私兵を使い暴力的な弾圧を続けている。市民はこうした状況をどう考えているのだろうか。

 スタッフは「緒戦の勝利」として首相辞任表明を勝ち取った市民デモ参加者の中に入って取材した。市民は、弾圧や催涙弾への対策のためだろう、マスク、ゴーグルなどをつけている。怒りとデモの激しさ、弾圧の厳しさがひしひしと伝わってくる、臨場感にあふれている映像だ。

 市民がまず非難するのはイスラム政治勢力の中心にいる「聖職者」らだ。ある市民は「彼らは宗教の名で市民に対して泥棒をした」と批判する。政治家を支配し、私腹を肥やしていることに対する怒りだ。

 2番目に登場する市民は「アル・アサイブやバドル軍団のような宗派の私兵はひどい連中だ」と告発する。2つのシーア派私兵組織はどちらもイラン・イスラム共和国から支援されている。

 3人目の抗議行動参加者も「カルバラ市や他の州で市民が殺され、バグダッドでも殺された」と怒りをぶつける。「やつらは実弾と催涙ガス弾で市民を殺す。どこであろうが殴ってくる」

弾圧に抗する闘いに連帯

 この男性は、大通りの弾除けバリケードの所でインタビューに答えているが、「たとえ自分の体の前に弾よけがあっても怖い」と言う。市民はこれほど大変な弾圧に抗し、仕事と生活、人権を求めて闘っている。

 「10月蜂起」と呼ばれるイラク市民のデモは、アブドルマハディ首相辞任、サーレフ大統領辞任へと政府を追い込んでいる。安倍政権が中東派兵に固執するのは、イラク市民の闘いがグローバル資本の支配に立ち向かっているからだ。日本から連帯し、介入に反対しなければならない。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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