2020年02月14日 1612号

【1612号主張 改憲のためには新型肺炎も利用 緊急事態条項などいらない】

新型肺炎で改憲策動

 新型コロナウイルス肺炎に対する市民の不安・危機感を利用し、緊急事態条項を看板にした憲法改悪発議が狙われている。自民党の伊吹文明・元衆院議長は「憲法改正の大きな実験台」と発言。国会でも改憲推進の維新議員による質問に安倍が「大いに議論」と応じる。進まぬ改憲論議を加速させたい思惑が透ける。

 しかし、新型肺炎対策に緊急事態条項など全く必要ない。感染症法と検疫法に基づいて政令で指定感染症、検疫感染症に指定し、必要な措置はできる。既存の法律で対応可能だ。

 安倍らのめざす緊急事態条項案は、内閣が法律同等の政令を制定、三権分立を否定し、基本的人権を制限する。市民の不安につけこみ改憲へと誘導する悪質な策動を許してはならない。

改憲先取りの中東派兵

 すでに改憲の先取りと言える事態が起きている。中東への自衛隊派遣だ。

 2月2日、抗議の市民が反対の声を上げる中、海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が海自横須賀基地から出港した。この派遣について、安倍政権は批判を恐れ臨時国会では一切審議せず、閉会後の閣議決定と防衛大臣命令だけで実施した。国会報告は閣議決定文書を議員に配布したのみ。国会無視の極みだ。「調査・研究」の名目なら陸上戦闘部隊の派遣も可能となり、憲法9条を空文化する。「不測の事態」では武力行使が狙われ、中東民衆と自衛隊員の命が危険にさらされる。

 また、日々市民の命を削る消費増税、社会保障費削減の一方で、大軍拡が行われている。2020年度政府予算案で軍事費は5・3兆円と6年連続で過去最高を更新。1月30日成立した19年度補正予算では自衛隊関連4287億円が盛り込まれた。すでに19年度で総額5・7兆円に迫る異常な大軍拡予算となっている。

地域から安倍退陣を

 安倍は、改憲を「私の手で成し遂げる」と公言し、躍起になっている。しかし、世論調査(1/10〜1/13時事通信)では安倍政権下の改憲に「反対」が46%に上り、「賛成」31%を大きく上回る。国会審議でも「桜」、カジノをめぐるあまりにひどいウソ、隠ぺいに市民の怒りは高まっている。「桜」追及より新型肺炎対策などとごまかすことはできない。

 今こそ、の安倍内閣を退陣させ、軍事費・カジノへの税金投入をやめて市民生活に回せ、の世論を強めるときだ。安倍9条改憲NO!全国市民アクションの「安倍9条改憲NO!改憲発議に反対する全国緊急署名」も開始された。ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が呼びかける「軍事費を市民の暮らしに、安倍政権の退陣を求める署名」とともに、地域から怒りの声を広げ、安倍腐敗政権を即時退陣させよう。

   (2月3日)
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