2020年02月14日 1612号

【韓国軍もホルムズ海峡派兵/日韓両政府の狙いは権益確保/連帯強め戦争政策転換を】

韓国も中東派兵

 安倍は昨年末、自衛隊中東派兵を決定。海上自衛隊P3C哨戒機派遣に続いて、護衛艦「たかなみ」を中東海域に派遣した。防衛省設置法による「調査・研究」を派兵の根拠とし、「国会承認は不要」との立場だ。

 同様の事態を韓国・文在寅政権(ムンジェイン)も引き起こしている。

 韓国・国防部は1月21日、「わが国民の安全と船舶の自由航行を保障するため」とし、イエメン沖アデン湾で船舶護送の任務に就いている「清海(チョンへ)部隊」の活動領域を拡大。アラビア海からホルムズ海峡を経てイラク南部ズバイル港までとした。文在寅もまた、国会同意なしに派兵を決定した。こちらは「すでに派兵している部隊の作戦区域の変更」という理屈だ。

 いずれも「独自派遣」を強調しているが、自衛隊と同様、韓国軍も有志連合の拠点に将校2人を派遣し一体化を進める。中東のイラン包囲網で日米韓軍事同盟が機能することとなる。

ただちに反対行動

 この決定に、翌1月22日、韓国の社会運動団体が青瓦台(チョンワデ 大統領府)前で抗議の声を上げた。

 集まったのは全国民主労働組合総連盟、民主社会のための弁護士会、韓国進歩連帯、参与連帯、「平和と統一を開く人々」など89団体に及ぶ。

 記者会見に臨んだ89団体の代表は「文在寅政府はロウソク政府≠自任してきた。だがそのロウソク≠ヘ平和を願うロウソクであり、米国の戦争支援を望むロウソクではなかった」と痛烈に批判した。

 各団体も口々に派兵反対を表明している。

 「今回の派兵の最大の問題は、米国の覇権攻勢に韓国軍が動員されたことであり、トランプのインド太平洋戦略に同調するもの。政府は作戦範囲を拡大しただけだと強弁するが、(その対象が)海賊からイランに、(主導主体が)国連安保理から米国に変わったという点で明確に違う」(平和と統一を開く人々)、「文政府の国政運営基調は平和なのか戦争なのか。THAAD(サード 高高度ミサイル防衛システム)、GSOMIA(軍事情報包括保護協)から海外派兵まで、政府は一時的だと言って国民を欺瞞している。若者たちを戦場に追いやり、国民の生命と安全を威嚇している」(民衆共同行動)

 また、日韓市民が共同で中東派兵に反対する呼びかけも行われている。

 8月、平和と民主主義をめざす全国交歓会や韓国代案文化連帯など34団体882人による日韓平和市民共同宣言は「日韓政権のホルムズ派兵に反対」と表明。1月13日には、日韓ユース平和参加団in済州が「アメリカのイラン攻撃に反対し、韓国軍・自衛隊の中東派兵を阻止するための『世界の平和をつくる日韓青年共同行動』を同時開催しよう」と呼びかけた。

 これらの声明などに応え、日本全国10か所以上で1・25世界抗議デーに合流。引き続き、護衛艦派遣阻止へ横須賀現地集会・デモをはじめ各地で行動が呼びかけられている。

戦争策動は瓜二つ

 韓国社会運動団体の批判から読み取れるのは、文在寅政権・安倍政権の派兵の根は同じだということだ。米国を中心とするグローバル資本主義政権は、世界のいつでも・どこででも軍事行動を引き起こせることを誇示し合い、武力による威嚇・武力行使を背景に権益確保を競っている。

 日韓政府の戦争策動は瓜二つだ。沖縄・辺野古新基地と済州(チェジュ)島海軍基地、秋田県・山口県陸上イージスと星州(ソンジュ)ソソンリTHAADの配備、事件・事故の根本原因である米軍への基地提供。日韓民衆の連帯を一層推し進め、グローバル資本のための戦争政策を民衆のための政策に根本的に転換させよう。



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