2020年02月14日 1612号

【みるよむ(544)2020年2月1日配信 イラク政府の犯罪とインターネット ―若者、市民はひるまない―】

 2019年10月以来、イラクでは失業と貧困、腐敗に反対する市民の大規模なデモが続いている。この平和的な抗議行動に対してイラク政府はありとあらゆる弾圧を続けている。

 11月に行われたこのインタビューの最初に登場する若者は、政府が市民のデモを「武装している」「スパイだ」など全くのウソで非難したことに怒る。そして、「政府は市民がデモに集まらないようにするためにインターネットを遮断した」と批判する。

 しかし、デモの中心となっている若者たちはひるまない。この若者も「抗議行動に参加する市民はもっと増えている」と言う。シーア派やスンニ派、クルド民族といった分断を許さず「市民みんなでデモに参加している」と主張する。

 2番目に登場する市民は「政府与党はインターネットを切断するだけでなく、米軍による占領以来の16年間にわたって市民から盗み取り、殺してきた」と、政治家やイスラム政治勢力の腐敗と暴力を糾弾する。

 最後に登場する若者は「アデル・アブドルマハディ(首相)は、デモ参加者を狙撃兵によって殺すために、世界を映すインターネットを切断している」と批判。「私のいとこは実弾射撃で死にました」と憤る。

殺戮をやめさせよう

 また、「私のポケットには2000ディナール(約180円)しか入っていません」と自分の全所持金を見せる。この場面でも、若者、市民に失業と貧困を押し付けて私腹を肥やす政府とイスラム政治勢力の本性が鋭く暴かれる。

 イラク市民の全土でのデモ「10月蜂起」は、アブドルマハディ首相を辞任表明に追い込んだ。それでもなお政府は、インターネットを遮断し、市民に銃弾を撃ち込むなど犯罪行為を続けている。イラク市民と連帯して人権侵害と殺戮をやめさせなければならない。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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