2020年02月21日 1613号

【沖縄 辺野古 急ピッチの土砂搬送 牛歩でダンプ止める 無謀な新基地は断念を】

進捗1%に焦る

 昨年末、辺野古新基地建設の土砂埋め立て進捗率がわずか1%という数字が公表されメディアでも報じられた。安倍政権はよほど気に食わなかったのか、今年に入って異常なペースで土砂の搬入を強行している。

 1月17日から、大浦湾の台船4隻に運搬船から土砂を同時に移し替える作業が始まった。4隻同時は今までなかったことだ。K4護岸やK8護岸からもフル稼働で土砂を移している。

 名護市安和(あわ)の琉球セメント桟橋でもこれまで本部(もとぶ)町方面から右折で入構していたダンプカーが、名護市方面からも左折で直接進入する形に変更された。本部町塩川港と安和桟橋から毎日千台を超えるダンプカーが土砂搬送、とそのピッチが急に速まっている。

 だからこそ、安和桟橋入り口前の横断歩道で、市民が朝から晩まで牛歩戦術でダンプカーの入構を一時くい止める合法闘争は大きな意味を持つ。構内に入るまで信号で待ち続けざるをえない何十台ものダンプ。行列する姿は工事を遅らせていることを示す。

 信号が変わってダンプが入ってくる。だが、機動隊員も「危ないですよ」と市民の背中を軽く押して排除するという対応しかできない。辺野古新基地建設を阻止する具体的で平和的な直接行動だ。

軟弱地盤で滑走路沈下

 大浦湾側の軟弱地盤問題は「滑走路の沈下」という問題に発展している。1月29日、野党国会議員・超党派でつくる沖縄等米軍基地問題議員懇談会で、沖縄県選出の伊波洋一参院議員が発表したものだ。

 すでに陸地としてあるキャンプ・シュワブの三角地は頑丈で滑走路がその上に建設されても地盤沈下は起らない。だが、埋め立て地、とりわけ大浦湾側の軟弱地盤を埋め立てた土地では、地盤沈下のために滑走路が均等にならずデコボコになってしまう。

 米軍が求める滑走路の性能基準(UFC)は、滑走路端から300b未満で「勾配の変化がない」と規定する。新基地は2本の滑走路とも不均等な地盤沈下で米軍の基準を満たさない。この不揃いな沈みは「不同(不等)沈下」と呼ばれる。伊波議員は「使用開始から数年後には不同沈下が始まる」と指摘。「不同沈下の予測は、8aから12aだが、もっと大きな差が出る可能性がある」と断言する。

 河野太郎防衛相は1月31日参院予算委員会で「米軍と協議した上で国際民間航空機関(ICAO)の基準を採用した」とし、問題ないと答弁したものの、米軍のUFC基準に適合するとは明言できなかった。

 仮に新基地が完成したとしても、高性能爆弾や化学兵器を積載した航空機が段差のある滑走路で大事故を起こす危険性が十分考えられる。そもそも巨大な基地を建設するような場所ではなかったのだ。防衛省試算でも1兆円近い工事費となる無謀≠ニしかいいようのない計画は1日も早く断念させなければならない。

ヘリ墜落を「着水」

 またもや米軍ヘリの墜落事故が起きた。1月28日、沖縄島東沖で米海軍所属のMH60ヘリが墜落した。

 事故の表現について、沖縄防衛局は当初「不時着水した」と発表し、その後「着水した」に変更。しかし米海軍安全センターは翌29日「外洋に墜落し乗組員は救助された」と発表した。米軍が最も重大な事故(クラスA)と発表しても、防衛省は「着水した」としか認めない。

 米軍による事故続発は政府に都合が悪いため言い換える。戦時中、日本軍の敗退を「転進」と言い、「桜を見る会」参加者募集は「募集ではなく募る」とまで言う。「着水」も同じだ。

 いつまでこんな子どもだましを重ねるのか。市民を愚弄する安倍政権は退場させる以外にない。 (N)





 
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