2020年02月28日 1614号

【1614号主張 アメリカ大統領予備選 サンダース首位の世界的意義】

社会主義者が首位に

 アメリカ大統領選の民主党予備選挙で、民主主義的社会主義者を公言するバーニー・サンダースが首位に立った。ニューハンプシャー州予備選で勝利し、全米世論調査でも1位だ。

 サンダースは、メディケア・フォー・オール(すべての人への公的医療保険)、公立大学無償化、時給15ドル、イラン戦争反対などをかかげ、財源を大企業・富裕層への課税や金融取引税に求めている。

 米国の大統領選は、実質、民主・共和の二大政党が競う仕組みで、膨大な資金量がものいう非民主的選挙だ。左派の候補は、社会に浸透した反共・反社会主義政策で少数派を余儀なくされてきた。しかし今回、支配階級に有利な選挙制度でも、サンダース候補がトップに立つ大変化が起きた。

根本的変革を求める

 サンダース首位の要因はなにか。第一に、米国社会の不平等と格差が極限まで拡大したことだ。上位1%が持つ資産は全体の32%(約3800兆円)に上り、下位50%の資産は1・6%(19年7〜9月米連邦準備制度理事会統計)。大多数の市民が教育費、医療費、住宅費の高騰、ローンと低賃金・不安定雇用に苦しむ。資本主義ではなく社会主義を肯定する割合は、18〜34歳では52%となった(11月ギャラップ社調査)。こうした若者を中心に社会の根本的変革を求めている。

 第二に、社会主義を推進する政治組織が大きく育ったことだ。アメリカ民主主義的社会主義者(DSA)は、数千人の組織から約6万人に増えた。予備選実施州で大規模な全戸訪問と全米からの電話かけを行い、労働組合や大学で支持を広げた。すべてDSA自前のボランティアだ。この草の根の活動が民主主義的社会主義支持拡大の原動力だ。

 サンダース支持は一過性ではない。若者をはじめ多くの市民・労働者が選挙活動に参加している。グローバル資本が推す民主党の他候補を退け、11月トランプ再選阻止を闘おうとしている。変革をめざす世界の人びとを励ましている。

地域から変革は可能

 貧困と格差は日本でも深刻だ。安倍政権による生活破壊、腐敗への憤りは限界に来ている。民主主義的社会主義を求める声が広がる条件は十分ある。

 安倍NOはもちろん、自公政権に代わる根本的変革の対案―99%の人びとに響く政策をかかげ、政権交代を求めるときだ。高等教育の完全無償化、医療・介護への予算投入、低賃金打破と安定雇用拡大、消費税廃止。その財源を大企業・富裕層への課税、軍事費削減で生み出す政策を大きく掲げよう。地域の全戸訪問で「軍事費削り市民生活へ、大企業・富裕層への課税強化」署名を広げ、対話を重ねよう。日本でも変革をつくり出そう。

   (2月17日)
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