2020年02月28日 1614号

【でたらめの極致 辺野古大幅計画変更/総がかり実行委が防衛省交渉/「70b以深も軟弱」隠ぺい/新基地建設は完全破たん】

 防衛省は昨年末に開催した辺野古新基地建設事業の技術検討会で、工事計画の大幅な変更案を明らかにした。工期は8年から12年に伸び、総工費は3500億円から2・7倍の9300億円に膨れ上がった。

 総がかり行動実行委員会は2月12日参院議員会館で、沖縄・平和市民連絡会の北上田毅さんを招き、防衛省交渉を行った。

 まず論点となったのは、2月8日の東京新聞などが報じた、海面下70b以深にも「軟弱」地盤があることを示すデータが伏せられていた問題。防衛省は、軟弱地盤が深さ90bに達する「B27」地点では強度試験を実施していないと説明し、同地点の地盤強度は別の3地点の試験結果から類推できるとしていた。しかし、これら3地点とB27地点の土質は異なる。

 防衛省側は「B27地点の試料採取は採取前の状態を保てない簡易な方法。国土交通省の技術基準で強度試験と認められていない。受注者が自主的に調査したものだ」と言い逃れ。北上田さんは「私も公共土木事業を30年間やってきたが、発注者に断りなしに受注業者が勝手に何かすることはあり得ない。簡易な試験で強度が低い数字が出ているなら、なぜボーリング調査をきちんとして簡易でない試験をやらなかったのか」と詰め寄った。


警備費は1700億円

 総工費9300億円には警備費として1700億円(18%)が含まれる。現在、海上・陸上の警備業務に費やされているのは1日2000万円。工事期間10年として730億円で、1700億円はけた違いの高額だ。なぜこんなにかかるのか、の問いに防衛省側は「警備の内容を明らかにすることは今後の警備に支障を及ぼすおそれがある」と回答を拒否した。

 工期には、サンゴの移植とその許認可に必要な期間が含まれていない。農林水産相は1月31日、玉城デニー沖縄県知事に対し防衛局のサンゴ特別採捕の申請を許可するよう勧告したが、知事は拒んだ。不許可とされた場合の対応を問われ、防衛省側は「工事の進捗状況を踏まえて適切な時期に移植する」と意味不明の回答。生物多様性国家戦略についても「閣議決定を踏まえて適切に対応する」と官僚答弁に終始した。

環境無視の新計画

 新たな計画は、工期の短縮を目的に、環境への影響を無視した無理な工法を採用している。埋め立てを外周護岸の完成前に実施し、最深部で水深42bの予定地を水深7bまで先行して盛り土する。護岸が閉じる前に土砂を投入すれば、大浦湾一帯に汚濁が拡散する。また、土砂の7割は県外から搬送する予定だったが、「沖縄県内でも調達可能」とした。土砂のほとんどを県内調達すれば、沖縄の山の破壊はさらに進む。一方、大浦湾側の海上搬送量は昨年の20倍に上り、県外からの搬入も想定している可能性がある。防衛省側は「盛り土の量は今後精査する」「土砂は沈降するので影響は拡散しない」「土砂の具体的な調達先は確定していない」と木で鼻をくくった回答を押し通した。

「設計変更許さない!新基地つくらせない!」と首都圏キャンペーン

 2月16日、「辺野古の海を土砂で埋めるな首都圏連絡会」が呼びかけ、「軟弱地盤のデータ隠すな」「でたらめ工事に税金じゃぶじゃぶ使うな」と新宿アルタ前でアピール。新宿周辺デモで市民に訴えた。

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