2020年03月06日 1615号

【GDP6.3%減/「2020年600兆円達成」掲げた/アベノミクス不都合な真実】

 「2020年ごろにはGDP(国内総生産)600兆円達成」と安倍晋三首相はアベノミクス新3本の矢の1本目に挙げた。4年半前のことだ。

 19年10〜12月期のGDP速報値が発表された。物価変動分を除く実質で前期比1・6%減、年率に換算すると6・3%減。名目でも4・9%減。19年通年のGDPは名目1・3%増となる。毎年名目3・0%増を前提とした「600兆円」目標がどれほどほら≠ナあるかは当時から指摘されていたが、今回の数字はごまかしようがなかった。

 政府は経済見通しについて1月20日、「内需を中心に緩やかに回復している」と閣議決定していた。消費税増税対策も講じたから大丈夫だと虚勢を張っていたが、現実はその対策を講じたにもかかわらず個人消費は4・8%減となった。

 GDPの内需だけを取り出すとマイナスは前期比2・1%(年率8・4%)とさらに大きくなる。外需では、輸出減以上に輸入減となり、その差0・5%が数字上プラスに働いた。輸入が減るのは内需減の反映であることを考えれば、個人消費の落ち込みの経済への影響は数字以上のものだ。


原因は消費税増税

 安倍はGDP減の理由に「消費税率引き上げに伴う一定程度の反動減に加え、台風や暖冬の影響を受けたこと」を挙げた。台風や暖冬まで口にし、消費税増税の影響を薄める印象操作を試みているが、7〜9月期に駆け込み需要があったかと言えば、対前期比0・5%増程度である。4・8%減に比べようもない。

 さらに見通しについて「供給力は良好な雇用、所得環境に加えて、今後、経済対策の効果が発生していくことを踏まえれば、我が国、経済は基調としては今後とも内需主導の緩やかな回復が継続していく」

 何の根拠もなく発言できるのは厚顔無恥の極みだ。頼みのインバウンドも減、コロナウイルスの影響は1月〜3月期のGDP値に反映する。数値はますます悪くなることが予想されるのに「回復していく」と言えるのは、何も考えていないということか。

 GDPはここ20年、増えていない。その要因は実質賃金が全く上がっていないことにある。企業の内部留保は拡大しながら、賃金だけは低く抑えられたままなのだ。需要がなければ供給力は過剰となるだけだ。デフレ不況克服の鍵は消費税廃止とともに、最低賃金全国一律1500円、大幅な賃金アップしかない。
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