2020年03月06日 1615号

【安心!不登校・ひきこもりライフ/「フリースペースたんぽぽ」が講演会/横浜・鶴見】

 高校3年から48歳の現在までひきこもり生活を続ける男性が、なぜひきこもり続けるのか、ひきもり生活の極意は何か、を語る。そんな講演会が2月2日、横浜市鶴見区内であった。不登校の子に居場所を提供する「NPO法人子どもと共に歩むフリースペースたんぽぽ」の主催。同法人の理事を務める一之瀬百樹さんが報告する。

 最近、不登校の子どもが全国で急増している。前年度より2万人も増え、16万4528人になった(2018年度=文部科学省調査)。横浜市に至っては政令指定都市中で最も多く、4978人を数える。驚くべき数字だ。様々な資料から、フリースクールなどに通う横浜市の児童・生徒は500人程度で、あとの4千人以上は家に「ひきこもっている」状態とみられる。この現実を知っている人は少ない。

 数字は子どもたちが危機的状態にあることを示す。危機を放置させないためには、まず知らせることが重要と私は考えた。そのための企画として去る2月2日、「安心!不登校・ひきこもりライフ」というタイトルで講演会を開いた。

 講師は不登校・ひきこもりを経験している当事者、自称「ひきこもり名人」の勝山実さんにお願いした。この企画への反響は大きく、事前の申し込みが25人。当日は55人の参加があり、会場いっぱいとなった。翌日、地方紙・神奈川新聞にも記事が掲載された。当初の目的である社会への発信は大きく達成できたと思う。

子どもが安心できる場に

 勝山さんの「今の学校は助け合わないルールを教える。本来学校は助け合う、つながり支え合うことを教えることが大事だ」という言葉と、「たんぽぽ」に小学校から通った青年の「不登校の子どもに関して知ってほしいのは、安心がなければ子どもは前に進めない、ということ」の言葉に、共感が広がった。参加者からは「親が学校に行くことにこだわらないことが大切」「(学校での)仲間同士助け合わないルールが、社会に出てから孤立してしまう状況の原因であることに気づいた」などの感想が寄せられている。

 私は、子どもの不登校の多くが個人の病気や甘えではなく学校を中心とした社会全体への子どもの防衛反応だと思う。現在の学校・社会の閉塞状態の中で子どもは危機に直面している。自分を守るための防衛反応として不登校が起きていることの理解が重要だ。悩む子どもや保護者の心に寄り添い、子どもに安心を提供する居場所としてのフリースペースが欠かせない。そして、子どもと保護者、社会がつながり、分断に代わるお互い支え合うオルタナティブなシステムを地域につくることが大事だと思う。

 今、子どもの危機的状況の中で、「たんぽぽ」のような活動の強化が問われている。昨年秋から相談事業を重視し、有料相談を受け付けてきた。すでに10件以上の相談があり、その中から新たに3人の子どもが「たんぽぽ」に在籍するようになっている。

地域で支え合う関係を

 この活動に多くの方々のご支援をお願いします。ぜひ私たちのホームページにお立ち寄りください(「フリースペースたんぽぽ」で検索)。また、国や横浜市から何も支援を受けない中で、発足以来11年活動を重ねてきた「たんぽぽ」への募金を心から呼びかけます。現在、相談活動の充実と奨学資金づくりのため300万円募金活動を行っていて、1月末現在73万3600円まで到達しています。6月までに達成したいので、ご協力をお願いします。

◆郵便振替 口座番号:00280-0-52108 加入者:NPO法人フリースペースたんぽぽ



MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS