2020年03月06日 1615号

【コラム見・聞・感/鉄道は財産 地域はビジョンを】

 JR北海道問題をめぐってラジオ出演した。コミュニティFM局「ラジオカロスサッポロ」の1時間番組に2回目の出演だ。パーソナリティのまっちゃさんは福島県白河市からの区域外避難者でもある(本紙1574号「本当のフクシマ」参照)。

 昨年5月の出演時は、道産タマネギの3分の2、豆類や野菜の半分が鉄道を通じて本州へ出荷されているにもかかわらず、線路の除雪費などの経費は日本一高い運賃を通じて道民が負担させられている実態を指摘。「道民は廃線を受け入れる前に、このような偏った負担の見直しを求めるべきだ」と訴えると結構、反響があった。

 2月15日の出演では、焦点となっている日高線問題や昨年10月に行われたJR北海道の運賃値上げ問題を中心にトークをした。「不動産業者がマンションを通常より高く売りたければ広告に『駅前』と書く。それが鉄道の存在価値だ。乗らない人にも恩恵がある駅や列車を、鉄道会社の都合だけでなくすと街が寂れる。50人の予定だった観光客を突然100人に増やすにも、バスは1台増発するごとに1人運転士がいるが、列車なら車両増結で済む。ただでさえバス運転手不足が言われているときに鉄道をバスに変えると突然の観光客に対応できず、みずからチャンスを捨てることになる」と訴えた。

 国鉄再建が課題となった1980年代、黒字は新幹線と首都圏各線、大阪環状線だけで、後はすべて赤字だった。「でも首都圏以外の鉄道も残っています。北海道だけが廃線論議になっているのは、北海道を分割し単独会社にした国鉄改革の誤りに加え、地元自治体に地域をどうしたいかのビジョンがないからです」

 今回も放送中からリスナーの共感の声が寄せられた。「新幹線だけに国家予算を投じ、非効率な地方の鉄道は切り捨てるのが安倍政権のやり方だ」(札幌市Yさん)「住民も観光客も車に乗れる人ばかりではない。巨費をかけて新幹線を造りローカル線を廃止するのはおかしい」(札幌市Hさん)など。新幹線、リニア優先、弱者切り捨て安倍政権への怒りだ。

 「北海道新聞」は、深刻な運転手不足で減便するバス路線がついに札幌でも出始めたと伝えている。宅配便荷物の列車への混載も各地で始まっている。輸送力が大きく定時性が高い鉄道の復活の時代は必ず来る。

(水樹平和)
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