2020年03月06日 1615号

【みるよむ(547) 2020年2月22日配信イラク平和テレビ局in Japan 市民を撃ち殺す政府はいらない―イラク市民の要求―】

 2019年11月18日、政府に抗議する市民の大規模デモが続くイラクで、議会の各政党が45日以内の政治改革の実施に合意したと発表された。市民はこれをどう受け止めたのだろうか。サナテレビはデモ参加者にインタビューを試みた。

合意など無効だ

 主要政党が自分らの都合で決めた政治改革の合意など、市民は認めていない。

 最初に登場するデモ参加者は「政府に45日与えるとしているが、期限なんかいらない」と批判する。生活の苦しみと全く無関係のところでごまかそうとすることにみな怒っている。この市民は「誰が市民を殺しているのか」と問いかける。平和的なデモに実弾射撃し死者が出ていることについて、軍司令官は隣国イランのせいにする。しかし、実際にデモを弾圧し殺害しているのは政府の治安部隊とイスラム政治勢力だ。

 合意文書は、各部族長が住民を代表し合意したものとされる。だが、別の市民は「そんなものは要らない。彼らは代表ではない。信用していない」と断言する。

 怒りはおさまらない。ある市民は「現在の政府を根本から追放することが市民の権利だ」と訴えている。

 サナテレビはデモに参加している市民から直接話を聞き、「この国を盗み取った権力者やイスラム政治勢力、イラン、米国から我々の権利を取り戻す」という主張を伝えている。

新首相では変わらない

 2020年に入ってイラクの政治権力者たちは過去の内閣で閣僚を歴任してきたムハンマド・アラウィを新たな首相に選出するとしている。しかし、いわば首のすげ替えであり、市民の生活、権利が改善されることはない。イラク市民は腐敗政権を倒し、イランの支配も米国の支配も許さないと闘い続けている。日本からこの闘いに連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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