2020年03月13日 1616号

【1616号主張 安倍のコロナ対策 生活も社会も壊れる 猶予はない 即時退陣だ】

でたらめ対応で社会混乱

 新型コロナウイルスをめぐる政府のでたらめ対応で混乱が加速している。安倍首相は2月27日、全国の小中学校、高校に突然の一斉休校を要請。「学校での感染拡大を防ぐため」とした。クルーズ船での急速な感染拡大への対策が後手に回り、急落する支持率を回復させるためのパフォーマンスだ。

 今回のウイルス発生源の中国でも、また日本でも、子どもたちの感染や重症化の例はきわめて少なく、一斉休校に正当性などない。

 「全国最多」とされる感染者を出している北海道では、鈴木直道知事が安倍に先駆けて2月28日からの学校一時休止を強行。「緊急事態宣言」まで発し、混乱を広げている。帯広市の病院では看護師の2割が子どもの世話のため休暇となり、一部の診療を休止した。

 子どもの面倒を見るため仕事を休んでも賃金保障もない労働者は怒りの声を上げる。このような不安定雇用を拡大したのは歴代自民党政権だ。コロナウイルスは日本社会のあらゆる歪みや闇を浮かび上がらせた。

予算も具体策もなく

 慌てた安倍は2月29日、記者会見を開いたが、全国一斉休校の根拠を示せなかった。休校に伴い仕事を休む労働者への休業補償などを口にしたものの、具体策は示さなかった。まだ質問を求める記者もいるのに、わずか35分で会見を打ち切り私邸に逃げ帰った。

 シンガポールは新型コロナ対策費に5千億円の予算を計上。韓国は14日以上隔離入院させられた場合、4人世帯で1か月あたり123万ウォン(約11万1千円)の生活費支援を決定した。一方、安倍政権は、わずか153億円の予備費をまわしただけ。野党からの予算組み替えの要求も拒否、新型コロナ対策が1円も盛り込まれていない2020年度予算を衆院通過させた。安倍は29日まで会見も開かず、加藤勝信厚労相に「対策」を押しつけたまま逃げ回り続けた。

 コロナ感染の検査を求めても受け入れてもらえないという重症患者や医師の声さえ相次ぐ。日本ではPCR検査件数がわずか1510件(2/29厚労省、チャーター機、クルーズ船を除く)であるのに対し、韓国は9万3千件以上だ。感染が世界に拡大する中で、日本の無策ぶりは際立つ。

棄民許さず命を守る

 法的根拠のない一斉休校、「緊急事態宣言」は、憲法改悪―緊急事態条項導入への地ならしでもある。社会混乱に乗じて危険な政策を押し通す「ショック・ドクトリン」だ。市民の生命を守る実効ある対策を打ち出すどころか、社会も、経済さえも破壊する安倍。1日長くのさばれば市民の危険が1日分増す。もう一刻の猶予もできない。安倍即刻退陣で命を守る政治を勝ち取ろう。

   (3月1日)
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