2020年03月13日 1616号

【マニラで親子200人と交流 エイサーで子どもたちも笑顔 フィリピンと日本 32年の連帯で】

 マニラ郊外貧困地域の就学前教育施設ABAKADAと子ども全国交歓会(子全)が、フィリピンと日本の子どもたちの交流であるピースキャンプを始めて24年になります。2月8〜11日、支援を続けてきたAKAYプロジェクトをともに創る会と関東子全など19人の日本訪問団がマラボン市にあるABAKADAを訪れ、ABAKADAの親子200人とともに連帯の取り組みを成功させることができました。

 AKAYと子全が、1988年のABAKADA設立以来32年間にわたる連帯を継続してきたからこそ達成できたことが2つあります。

平和と健康セミナー実現

 1つ目は、真実を知る機会の少ないABAKADAの保護者のための「平和と健康セミナー」を協力して実現できたことです。

 現地でも新型コロナウィルス感染拡大のさなか、日本からの訪問に不安を持つ親たちも。そこで、医療問題研究会の森國悦医師には、ウィルス感染の説明から始めてもらいました。家庭でできる子どもの下痢対策やビタミン摂取食品などの話に熱心に聞き入る保護者の姿はとても印象的でした。どれだけ来てくれるだろうかの心配をよそに参加は過去最多で、ABAKADA運営者ポール・ガランさんも「大成功だ」と。

 ジュゴン保護キャンペーンセンタースタッフは、タガログ語スライドを活用してジュゴンのお話。事前にポールさんから「フィリピンでの米軍基地と環境破壊に抗する歩み」の説明もあって、保護者の心にすとんと落ちたようです。「沖縄ジュゴンを守ろう 辺野古新基地建設ストップ」署名は445筆も協力があり、防衛省への抗議はがきもその場で61枚集まりました。

 子どもたちはジュゴンが泳ぐ映像を見て、親子でお絵かき。フィリピンに生息するジュゴンに思いをはせることができました。

獅子舞に大興奮

 2つ目は子どもの交流プログラム。ABAKADAの若い先生と関東子全の青年たちですべてとりしきり、子どもたちをワクワクドキドキの世界に誘ったことです。

 関東子全の高校生グループAPLOのサポーター、漆山幸江さんから子どもの交流報告が寄せられました。

 ―「ぜひ、孫や子どもたちをフィリピンに連れて行きたい」。これは、ABAKADAの母親らに縫製指導を行っていた堤美枝子さん(昨年2月急逝)の思いでした。

 堤さんとの約束を果たそうと、秋頃から呼びかけ、Tシャツや靴、手作りの段ボール・パーランク(沖縄の手持ち太鼓)100組など、かつてなく多くのカンパ、物資を集めることができました。子全の集まりで、フィリピンやジュゴンのクイズを行い、訪問予定地パヤタスやジュゴンの絵本を読んだりもしました。

 当日は、どの演目をどのような演出でするか、歌舞団にどう加わってもらうかなど、若者5人で考えて演技へ。獅子舞や、子どもたちみんなと踊ったエイサーの『花風歌』『沖縄ラティーナ』は大変な盛り上がり。特に数年ぶりに演じた獅子舞に子どもたちは釘付けになり、大興奮でした。

 高校3年Nさんは「自分の目でみてフィリピンの勉強をした。発展途上国のことも考え、今後もフィリピンに関わりたい」、中学生Yさんは「自分たちの演技で子どもたちが笑顔になった。今までにないいい体験ができた」と感想を語りました。この経験が若者たちの自信と生きる力に繋がることを願っています。―

 青年たちの動きに元気をもらったAKAY。ABAKADAとの連帯と「子どもたちの未来に基地はいらない!」の思い。その願いを地域での報告会やミニコンサートなどで市民に発信し続けたいと思います。

(フィリピンAKAYプロジェクトをともに創る会・古武家(こぶけ)育子)



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