2020年03月13日 1616号

【国際自動車残業代裁判/最高裁で口頭弁論/労働時間規制は労働法制の根幹/3・30判決 働く者の命守る逆転勝訴へ】

 4大タクシーの1社、国際自動車に未払い残業代の支払いを求めた裁判の高裁差し戻し審不当判決から2年。最高裁は2月27日、ようやく上告審の口頭弁論を開いた。

 争点は、国際自動車の賃金規則で名目上支払われるものの歩合給から差し引かれ、実質ゼロになる残業代が、はたして労働基準法37条(時間外・休日・深夜の割増賃金)の定める割増賃金にあたるか否か、にある。一昨年2月の東京高裁判決は「タクシー乗務員は個人事業主と変わらない」「歩合給から残業代を控除することで非効率的な労働を抑止できる」「多数派組合が承認している」などを理由に請求を棄却した。

 最高裁第1小法廷で行われた弁論で原告代理人の指宿昭一弁護士は「労基法37条は労働者が『人たるに値する生活を営む』(同法1条1項)ため、労働者の生命・健康を維持し、家庭生活と自己の時間を確保するための規定。戦後労働法制の根幹部分を構成する」と前置きし、「本件賃金規則の歩合給では、売上金を基に算出される『出来高払制』賃金から割増賃金部分が控除されており、割増賃金は支払われていない。そもそも本件『出来高払制』賃金は、通常労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金部分とを判別できない」「高裁判決は契約自由の原則などを持ち出し、強行法規である労基法37条に違反する賃金規則を適法とした。労働法制の破壊に道を開く」と糾弾した。

 全国際自動車労組の伊藤博委員長が原告を代表して意見陳述。「国際自動車のような労働法を守らない会社が日本の国からなくなることにより、労働者の生活と健康を守ることができ、日本は豊かな国に近づく。残業代を払わなくていいという判決が出れば、日本は労働法を守らなくてもいい国になる。日本が無法地帯になったら大変だ」と厳正な判決を求めた。

 判決言い渡しは3月30日午後4時と指定された。

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