2020年03月13日 1616号

【原発賠償京都訴訟控訴審第6回弁論 「調べない、数えない、助けないのが国」と原告ら】

 2月26日、大阪高裁で原発賠償京都訴訟の控訴審第6回弁論が開催された。新型コロナウィルス騒動の中、原告は全員マスクをして入廷行進。傍聴者もマスク着用という裁判となった。

 今回の原告側主張の目玉は、原告陳述書を項目ごとに整理し分析した意見書だ。執筆者の竹沢尚一郎さん(国立民族学博物館名誉教授)は、陳述書を分析した結論として、事故後の大混乱の中で原告らは情報を集め避難を選択した。それは、自らと子どもたちを守る正当な行為、と結論づけた。プレゼンテーションを行なった白土哲也弁護士は、高裁の裁判官は原告の生の証言を聞いていないので、苦労して作った陳述書を裁判官に見直してもらうという意味もあった、と述べた。

 報告集会での原告の発言で目立ったのは、新型コロナウィルスに対する政府の対応への批判。発言した6人のうち4人が共通して「いま起きていることは、あの時われわれが直面していたことと同じだ」と語った。ある原告は「原発事故での国の対応は『調べない、知らせない、助けない』だったが、今回は『調べない、数えない、助けない』が国のやり方だ」。別の原告は「命よりも、東京オリンピックをつぶしたくない、というのが本音だ」と語った。「今回の国の対応をみて、裁判には絶対勝ってやるという気持ちになった」と決意を固めた原告もいた。

 次回期日は5月13日。

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS