2020年03月27日 1618号

【ミリタリー・ウォッチング コロナ「自粛」と無縁の軍事活動 日本版海兵隊が沖縄で初訓練】

 「新型コロナウイルス」一色の状況が続く中、「緊急事態宣言」を可能とする「改正新型インフルエンザ等対策特別措置法」を筆頭にどさくさ紛れの「改憲実験」が強行されるなど強権措置が次々と打ち出されている。その一方で、市民に広く知らせなければならない危険な動きが覆い隠されていることも多い。

 軍事はその典型である。科学的根拠もない学校の全国一斉休業や様々な社会的活動は「自粛」が強要されるが、軍事活動は例外であるかのごとく演習など活発な活動を繰り広げている。

 沖縄・辺野古では水深90b地点の軟弱地盤を示すデータを無視し、「追加の調査をする必要がない」と居直り、新基地建設工事作業を中断なく続行。大分・日出生台(ひじゅうだい)演習場での在沖縄米海兵隊の演習で、地元との覚書に反して5回も夜間訓練を強行(2月12〜21日)。さらに沖縄では、金武(きん)町伊芸の民間地に米軍の照明弾3発が落下するという事故を起こしたにもかかわらず、米軍は60ミリ迫撃砲照明弾の訓練を再開すると発表(3月9日)。

 そして自衛隊はといえば、日本版海兵隊といわれる陸上自衛隊の水陸機動団と米軍との共同訓練を米軍の演習場「金武ブルー・ビーチ訓練場」(沖縄県)で実施(1月25日〜2月13日)。水陸機働団の沖縄での訓練は初めてであった。

 訓練には、南西諸島等での対中国軍戦闘を想定したシナリオで、長崎・佐世保基地のドック型揚陸艦「ジャーマンタウン」やエアクッション型揚陸艇、防空用の高機動ロケット砲システムを載せた車両、さらに陸自にも配備される垂直離着陸輸送機MV22オスプレイも動員された。

 米軍側は、キャンプ・ハンセン(金武町など)に司令部がある第31海兵遠征部隊や強襲揚陸艦「アメリカ」、ドック型輸送揚陸艦「グリーン・ベイ」(佐世保)を含め、約2500人が参加。陸自からは水陸機動団など約60人にとどまったものの近い将来の大幅拡大を見据えた本格的訓練だ。

沖縄軍事拠点化の一環

 水陸機動団は、現在2つの水陸機動連隊(計2400人)を相浦駐屯地(佐世保市)に置いている。2013年度までには3つ目の水陸機動連隊をつくり、3000人規模への増強を方針化している。その配備先としてキャンプ・ハンセンが有力候補としてあげられている。

 陸自は「沖縄で陸自の活動を増やし、米軍とも密に連携していきたい。訓練はその一歩で、地元の反応をみる。できれば定例化したい」と訓練の狙いを明かしている。辺野古新基地建設と密接につながる自衛隊の南西諸島―沖縄軍事拠点化の動きを見逃さず、ストップさせなければならない。

豆多 敏紀
平和と生活をむすぶ会

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