2020年03月27日 1618号

【沖縄 検疫も無視の日米地位協定 すべては戦争路線優先 加速する南西諸島要塞化】

 日米韓軍事体制と新基地建設優先路線は、新型コロナウィルス問題でも現場に様々な影響を及ぼしている。

国内法適用せず

 米韓両軍は、例年3月韓国で実施してきた合同軍事演習―野外機動訓練「フォール・イーグル」と指揮所演習「キー・リゾルブ」を延期した。韓国軍と在韓米軍の兵士に感染者が出ている事態を考慮したという。

 演習の延期をうけて、2月28〜29日の両日、在沖米海兵隊と米海軍300人が沖縄に戻ってきた。当然、兵士全員の検疫が必要だ。しかし、検疫に関する日本の国内法は、日米地位協定により適用されない。

 沖縄県の謝花喜一郎副知事は3月2日、県庁に田中利則沖縄防衛局長を呼び出し「海兵隊員との濃厚接触などで沖縄の基地従業員が感染するようなことがあってはならない」と指摘。「本来は国内法でしっかりとした検疫を行って入国させるが、日米地位協定が壁となっている。国内法を適用させるよう日米地位協定を改定すること」を訴えた。

 こんなところにも、日米地位協定は市民生活に害を及ぼしている。百害あって一利なし。日米地位協定は日米安保条約とともに破棄しなければならない。

直轄工事中止も関係なし

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、赤羽一嘉国土交通相は、2月28日の会見で「国の公共工事について受注企業から要請があれば、最長で3月15日まで一時中止を認める」と明らかにした。対象は道路や河川など国の直轄工事8000件以上。この報道は即座に、辺野古新基地建設阻止を闘っている米軍キャンプ・シュワブゲート前のテント村や「連続5日大行動」を闘った本部(もとぶ)町塩川港にも届いた。「辺野古の工事も国の直轄事業だから対象となるのでは」と市民にわずかな期待も生まれた。だが、週明けの3月2日埋立て工事のための赤土の土砂搬送作業は平然と行われた。

 シュワブゲート前をはじめ安和(あわ)桟橋、塩川港の警備員約100人は全員マスクを着用していない。連日、県内外から訪れる不特定の市民と至近距離にいる以上、「濃厚接触」に十分該当する。一般の事業であれば当たり前のマスクがここにはない。排気ガスや粉塵なども日常的だ。人権無視もはなはだしい。基地建設しか考えない姿勢で労働者は切り捨てられている。

馬毛島から与那国島まで

 防衛省は、辺野古新基地建設強行に加えて、南西諸島で日米軍事一体化による島嶼(しょ)軍事要塞化を加速度的に進めている。

 昨年12月、鹿児島県種子島の西方に位置する馬毛(まげ)島を米軍艦載機の訓練移転地として評価額の3倍の約160億円で購入することを発表。そこでは、空母の甲板に見立てて着陸と離陸を繰り返すタッチ・アンド・ゴーの特殊訓練、沖縄の伊江島補助飛行場と同じようにLHDデッキによる離着陸訓練など、自衛隊の空母(護衛艦)艦載機となるF35Bステルス戦闘機、オスプレイの使用も想定される。

 石垣市では、3月2日に石垣市議会で平得大俣(ひらえおおまた)にある市有地約14ヘクタールを防衛省に売却する議案を可決した。陸上自衛隊の基地建設のためだ。すでに防衛省は民間地を先行取得し、昨年3月から工事を開始している。この市有地の売却で基地建設は一気に加速する。


軍隊は住民を守らない

 そして宮古島市では3月3日、上野野原の宮古島駐屯地に中距離地対空誘導弾部隊と地対艦誘導弾部隊のミサイル搭載車両が配備された。住宅地からすぐ近くにミサイル発射部隊の車両が見える。同島南東部にある保良(ぼら)の弾薬庫建設も開始された。

 馬毛島、奄美大島、沖縄島、宮古島、石垣島、与那国島と南西諸島6島に要塞化を進める日米両政府。75年前の沖縄戦では約20万人が犠牲になった。軍隊は住民を守らない=Bこの教訓を今こそ広く発信し、戦争路線を突き進む安倍政権を一刻も早く退陣させなければならない。  (N)

 
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