2020年03月27日 1618号

【安保法制違憲訴訟 派兵差し止め退ける 東京地裁 憲法判断を回避】

 2016年施行の安全保障関連法(戦争法)に基づく自衛隊海外出動などの差し止めを求めた訴訟で東京地裁は3月13日、請求を却下する不当判決を言い渡した。安保法制違憲訴訟の敗訴は札幌、東京(損害賠償請求)、大阪各地裁に続く4件目。

 判決は「存立危機事態における自衛隊の防衛出動は国民の権利・義務に関わる行政処分ではなく、原告には法律上保護されるべき利益がない」として訴えを門前払い。憲法問題についても「その余の点について判断するまでもなく」と理由も示さず判断を回避した。

 寺井一弘弁護士は会見で「集団的自衛権行使を容認する安保法制は一見して明白な憲法違反。何も触れずにそこから逃げ回っているのは大変遺憾」と憤りをあらわに。原告の一人、憲法研究者でもある志田陽子さんは「原告たちは、実際に起きてからでは遅い、今止めてもらわなくては、と差し止め請求に踏み切った。生きた人間の訴えと受けとめていないのではないか。『多数決原理で決まったことだから受忍せよ』と説教するが、15年9月の採決過程は熟議を尽くした多数決ではなかった。さまざまな人の声がまるで斟酌されていないことに司法の救済を求めているのに、筋が通らない」と批判した。
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