2020年04月10日 1620号

【「日の丸・君が代」強制するな/ILO・ユネスコ勧告実施へ市民会議発足】

 「日の丸・君が代」起立・斉唱の「職務命令」に従わない教職員への処分が乱発され、「処分は思想・良心の自由の侵害にあたらない」とする司法判断が繰り返されている。2019年3月、ILO/ユネスコ合同の専門家委員会(CEART)は日本政府に対し、「日の丸・君が代」の強制を是正するよう促す初めての勧告を公表した。

 だが、政府・文部科学省は同勧告の日本語訳すら行わず、「国内法に基づき適正に対処する」として勧告を無視し続けている。国家に従属する人づくりの教育施策を看過できない、と3月1日、都内で「『日の丸・君が代』ILO/ユネスコ勧告実施市民会議」が立ち上がり、発足集会に150人が参加した。

 集会では、CEART勧告中「消極的で混乱をもたらさない不服従の行為に対する懲罰を避ける目的で、教員団体と対話する機会を設ける」よう求めた点に注意を喚起。世界人権宣言や国際人権規約といった国際スタンダードから見れば不服従が懲戒の対象とされることは常軌を逸しており、ここに今回の勧告の核心があると強調された。

 本紙コラム「非国民がやってきた!」ライターの東京造形大学・前田朗さんは「国際人権勧告が日本政府に響かない。これは日本のマスコミの問題もある。平和への権利宣言の国連総会採択(2016年12月)も全く報じられなかった」と話し、メディアへのアクセスやウェブサイト、SNSなどを通じた情報発信の重要性を指摘した。

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