2020年04月17日 1621号

【保育・水道など公共を売るな!市民集会 大津市政の変革へ 平和と市民自治のまち大津をともにつくる会】

 3月22日、新型コロナウイルス感染症で集会や行動の「自粛」が相次ぐ中、平和と市民自治のまち大津をともにつくる会が、大津市内で「保育・水道など公共を売るな!市民集会」を開催した。

市民運動で歯止め

 大津市では、越(こし)直美前市長の8年間で公共の役割が次々と奪われてきた。前市長は大津市民病院や市営ガスの民営化に続き、一昨年秋に水道民営化を、昨年4月には公立保育園14園中6園の民営化方針を発表した。

 会では署名で全戸訪問を行ない、集会、街頭宣伝などで反対を訴えてきた。こうした市民運動の力に規定され、1月の市長選では元自民党県議が「保育園民営化白紙撤回」などを掲げ当選。会は2月13日、新市長に対し集めた署名777筆を提出するとともに、1日かけて関係各部署と交渉を行った。その結果、当面の水道の公営維持、保育園民営化の白紙撤回などの回答を引き出した。

 集会では、こうした市民運動の成果を参加者と確認し、水道・保育をはじめとした民営化路線を今後も許さないことを確認した。

児童福祉法の逸脱

 まず報告に立ったのは、大津あいあい保育園理事長の下村勉さん。民間保育園を運営する立場から公立保育園の民営化に警鐘を鳴らす。

 市は正規保育士雇用を怠り意図的に公立保育園の定員割れをつくりだす。昨年4月時点で239名だ。一方で、2年間で認可した保育園13園のうち9園が株式会社だ。公立園の空洞化を進めて、待機児童対策の名の下で株式会社に丸投げし民営化を促進する構図だ。

 下村さんは「民営化は、本来市が整備すべき保育の場の確保を民間に丸投げするもの。児童福祉法24条1項からの逸脱で公的責任の放棄だ」と指摘。利潤を追求する株式会社は、委託費の人件費を削減することで利益を生み出しており、中には本来8割の人件費を4割に押さえ込んでいるところもある。これでは良い保育はできないとし、「民間でも保育は安くは上がらない、公立は保育の質の向上を確保できるし、地域の拠点としての役割がある」と力説した。

水道広域化の危険性

 次に報告したのは会代表の中川てつやさん。「地域独占企業を生み出す水道の民営化は、料金高騰の一方、水質確保もままならず、憲法25条(生存権)を破壊するもので、“命の水”の民営化は絶対許してはならない」と訴えた。

 現在は市は「民営化は考えていない」と方針修正はしているが、一方で水道の広域化の検討を進めている。安倍政権の広域化の狙いは、水道の大きな市場をつくるためで、その先は民営化があり、日本の水メジャーを育成する方針がある。現に、先進地として大津市が視察した「群馬県東部地域水道企業団」は、施設の運営権こそ譲渡していないが、明電舎やクボタなどの国内4企業でつくる(株)群馬東部水道サービスが運営。企業団の職員は、発足時に比し7割に減少し、技術の後退は否めず民営化が形態を変えて進行していると指摘されている。「安易な委託前提の広域化検討はするべきでなく、今後も市民監視が必要だ」と締めくくった。

 その後の質疑も活発に行われ、「株式会社保育園の問題点がよくわかった」「保育も水道も公的に全面保障されるべき」「こうした集会は大事」など感想が寄せられた。

 会では、今後も大津市政を変えるために取り組みを大きく広げる方針だ。



MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS