2020年04月24日 1622号

【1622号主張 命と生活を守れ 検査を 治療を 個人補償を】

生活保障は待ったなし

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。世界で感染者は185万人、死者11万人を超え、国内でも感染者8千人、死者150人に達した(4/13)。4月7日、安倍首相は緊急事態宣言を発出。市民の生活や権利を制約し、補償は行わない全く不当な内容だ。

 新型コロナ問題は社会の矛盾を浮かび上がらせる。東京都は11日から幅広い事業者に対し休業要請。政府・自治体が事実上休業を強制しても、その補償はなく、個人事業者や中小企業経営者は廃業の危機に立たされている。また、解雇、雇い止めをはじめ切り捨てられる人びとは社会的に弱い立場に集中する。自己責任ではなく、市民の暮らしと命を支える生活保障は政府の責務だ。

社会を壊す独裁の道

 安倍政権は「108兆円の緊急経済対策」とアピールする。しかし、補正予算での新たな支出はわずか18兆6千億円で、大半はグローバル企業に振り向けられる。目玉とされる1世帯30万円の現金給付も対象はきわめて狭く、支給は早くて5月中だ。生活できる現金給付をただちに実施し、消費税廃止を行うべきである。

 緊急事態宣言に基づく措置の科学的根拠は今も示されない。一方、愛知、岐阜、三重などが独自に「宣言」を発出。不安と恐怖の中、さらに強い統制措置を求める気運があおられている。だが、ウイルス検査を徹底し必要な隔離とともに社会的距離をとり、院内感染対策も強化することで感染拡大を抑えている韓国などの例もあるように、「緊急(非常)事態宣言」でなくとも感染防止策は可能だ。

 危険なのは「自粛」強化の先にある緊急事態条項創設―憲法改悪だ。安倍と維新は宣言発出のその日、国会での改憲議論を促した。ハンガリーでは非常事態を無期限延長する法案が可決され独裁政権が誕生した。森友、「桜」など国家を私物化してきた安倍らに権力のすべてを委ねることほど危険なことはない。

地域から声をあげよう

 全国で公共施設の使用が制限され、政権批判が封じ込められようとしている。しかし、命と生活を守るためには黙っているわけにはいかない。被害拡大の根本には、グローバル資本の利益を優先し、大軍拡の一方で公的医療施設、保健所などの予算、人員が削られてきたことがある。つけはグローバル資本に支払ってもらわなければならない。

 感染防止を徹底しつつ、創意あるあらゆる手だてを駆使し、声をあげる時だ。平和と民主主義をめざす全国交歓会(ZENKO)が呼びかける「検査・医療確保と生活保障・休業補償を求める緊急署名」を集めよう。地域から市民・労働者の不安や怒り、要求を束ね、安倍政権、自治体に声を突きつけよう。

 (4月13日)
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