2020年04月24日 1622号

【沖縄 辺野古 護岸・岸壁6工事打ち切り 本体着手せず303億円を業者に 「自粛」言うならまず工事中止】

3月で契約打ち切り

 3月末、辺野古新基地建設の現場では2014年度に契約された護岸や岸壁など6件の工事の契約が年度末で終了し、打ち切りとなっていた。6件は、ケーソンというコンクリート製の大型の箱を海底に置き護岸をつくる工事や海域埋め立てへの中仕切りの岸壁を建設する工事など、当初契約で総額409億9257万円(4/5しんぶん赤旗日曜版)という巨額のものだ。

 そのうち5件は護岸や岸壁の本体工事に全く着手できないまま止まっていた。軟弱地盤の存在をようやく認めた沖縄防衛局が、大成建設や五洋建設など計16社の共同企業体に工事の停止を指示していた。ほとんど工事していないにもかかわらず、掘削調査の経費などとして総額計302億8122万円(4/5琉球新報)が業者に支払われていた。

 現在、台船からの土砂積み降しに使われているK9護岸はもともとは沖合に316b張り出す計画だった。それがわずか100bでストップしている。埋め立て工事の破綻は覆いかくしようがない。

安倍とゼネコンの策動

 こうした事実をふまえて4月4日、土木建設技師の立場で辺野古阻止の活動をしている奥間政則さんから詳しい説明をうけた。

 今月にも、沖縄防衛局が沖縄県に「設計概要変更申請」を提出することが考えられる。これまで水深70bまでなら軟弱地盤改良工事は可能としていたが、さらに90bまで軟弱地盤があるB27地点が見つかったことでどのような変更申請を出すのか。防衛省は、水深70bを境にそれ以深の地盤は固いと説明していた。ところが防衛省自ら国会に提出した資料の中に、70bより下の地層に粘土が90%を超える地盤が広がっていたとの記載があった。

 地質学専門の立石雅昭新潟大学名誉教授ら辺野古調査団が、沖縄防衛局の技術検討会にこの問題を指摘する質問書を提出した。だが、4月1日の検討会では「これまでの議論に影響はない」「再検討しない」と結論。追加調査は不要とする防衛省の見解を追認した。安倍政権に忖度し建設ありきという検討会の姿勢はますますむきだしになった。

 「現在は軟弱地盤の改良工事が水深70bまでしかできないが、巨大ゼネコンはかならず可能とする新しい工法・技術を開発するだろう」と奥間さんは指摘する。新基地建設にはいくら国費を投入しても構わないとする安倍政権と、世界初の新技術でシェア拡大を狙うゼネコンの思惑が合致しているからだ。護岸・岸壁6工事がいったん止まったことは国の行き詰まりを示すが、喜んではいられない。


コンベア設置認めるな

 名護市安和(あわ)の琉球セメント桟橋や本部(もとぶ)町塩川港では、3月は従来の5倍を超える台数のダンプカーが赤土土砂の搬送を行っていた。

 そして塩川港構内にベルトコンベアを設置する申請が県に提出された。これが認可されると、4基のベルトコンベアが並び土砂を台船に直接投入できる。奥間さんから過去の実例を示す写真を見せてもらった。土砂投入は現状をはるかに上回るスピードとなる。奥間さんは、県が申請を認可しないよう強く訴えていた。

 国土交通省が感染防止として公共工事などをストップさせている事実がある。しかし、辺野古新基地建設では、「不要不急」どころか違法、問題だらけも承知の上で国はフルに業者を動かしている。これに対し、市民が連日、埋め立て阻止の行動を行っている。「自粛・休業要請」を言うなら、この辺野古こそまず止めるべきだ。強行が続く以上、闘いをやめることはできない。県民は、屈することなく今日も闘い続けている。

    (4月12日・N)



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