2020年05月08・15日 1624号

【1624号主張 緊急事態宣言でなく検査・医療拡充/憲法活かし命と生活守れ】

命を守らない安倍政権

 4月16日、安倍政権は新型コロナウイルス「緊急事態宣言」対象地域を全国に拡大した。東京はじめ「特定警戒」13都道府県などでは、商業施設、教育機関、集会・展示施設、劇場等に休業要請が出されている。

 政府は、補正予算案で「10万円一律給付」としたものの、生活補償としては全く不十分だ。6月ごろとされる給付時期は余りに遅い。休業補償は自治体任せで国の財政支出はない。必要な人全員へのPCR検査、感染者受け入れ施設の大幅拡充、重症患者の治療体制整備のための支出も到底足りない。こうした中、東京や埼玉で新型コロナ感染者が自宅や路上で死亡する事例まで現実に起きている。

 安倍政権の「緊急事態宣言」は、改憲を視野に入れながら、コロナ対策失敗への批判を封じ込め、市民に「自粛」の名で自己責任を押し付ける。このままでは命までも奪われてしまう。

緊急に必要な生活保障

 今緊急に必要なのは、市民の命、生活を守る措置を政府に行わせることだ。

 第一に、新型コロナに関する検査体制を抜本的に改善・強化し、ドライブスルー方式なども含め必要な人すべてに無償でPCR検査を行うこと。第二に、感染者受け入れ施設・病床の拡充と医療管理下の隔離、重症患者に対応する医療体制整備のための財政的・物的・人的支援を迅速に行うこと。第三に、新型コロナにかかわるすべての休業補償・生活補償をただちに継続的に行うこと。第四に、社会保険料減免、納税猶予、奨学金(学生ローン)の返済猶予、消費税廃止など市民生活維持のための全国的な施策を講じること。そして、表現・集会の自由をはじめ市民的権利を制限する「緊急事態宣言」を撤回させることである。

 韓国政府は、イージス艦などの軍事予算を削り新型コロナ対策費に回した。日本もイージスアショア、F35戦闘機、辺野古新基地建設工事は即時中止だ。5兆円を超える軍事費削減、グローバル企業・富裕層への課税強化で財源を確保し、医療や生活保障の費用に充てなければならない。

政府・自治体に要求を

 市民自身の自律的な感染防止策を徹底し、ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が呼びかける「コロナ緊急事態宣言撤回!PCR検査拡大・治療体制確保拡充・休業補償を求める緊急署名」を地域の隅々に、またインターネットやSNSも使い広げよう。市民の要求を束ね政府・自治体へ要請を行おう。

 5・3憲法集会は、国会前からはネット中継され、各地で感染防止をしつつ創意ある取り組みが進む。あらゆる手だてで、「緊急事態宣言でなく、憲法を活かして命と生活を守れ」と地域から声を上げ行動しよう。

 (4月26日)
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