2020年05月08・15日 1624号

【地域医療破壊の大阪市政/コロナ対策もその場しのぎ】

 大阪市がコロナ専門病院とする十三市民病院は、280人が分娩予約済みだった。命がけの出産は医療者・妊婦十月(とつき)にわたる協同だ。280人もの突然の予約取り消しは混乱を招き、産科難民≠生み出しかねない。

 そこまでして感染病床はたった90。維新松井市政は短慮の上にけち臭い。神奈川県などプレハブ施設180床を新規整備するのに、既存施設で済ますのだ。

 大阪市政による地域医療の責任放棄は一貫している。

 最大11か所あった市立病院は次々廃止・統合され、総合医療センター設立の93年には同センターと市民病院2院だけ。感染症病床数もかつての半分以下で33床だ。維新市政下では周産期医療を支えてきた住吉市民病院を廃止。反対の声もどこ吹く風で無床診療所新設でごまかした。

 医療福祉関係者は患者の在宅生活まで見据えた地域連携を深化させてきた。地域密着抜きの医療行政は、感染症対策にもならず市民の生命を守れない。
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS