2020年05月08・15日 1624号

【コロナ感染防止と雇用確保へ 世界の労働者はストライキ】

 世界的コロナ感染の中、各国で感染防止と雇用確保を要求し労働者がストライキで立ち上がっている。

 米国では、ニューヨークの教員労組やミシガン州の自動車企業の労組が健康保持対策を求めてストライキに突入。デトロイトのバス運転手やサンフランシスコ近郊の輸送労働者は、乗客からの感染防止のため無料乗車や後部ドアからの乗降を認めさせた。配送会社大手UPSのチームスターズ労組は、病休適用の拡張を勝ち取った。客との接触の多いスーパーマーケット(ショッパーズ、ホールフーズなど)では、危険手当と賃上げを勝ち取った。

 グローバル企業アマゾン社では、ニューヨークの労働者が安全対策なしに密閉した倉庫で働かされていることに「アマゾンは新型コロナウイルスの温床だ」と抗議しストライキで闘った。フランス・アマゾンで健康リスクを告発する請願書を集めた労働者が解雇された。労働組合がストライキで闘い、裁判所に職場の安全確保を求めて提訴し、4月16日勝利判決を勝ち取った。アマゾン社に、6つの倉庫を5日間閉鎖して安全環境を確保し、その間1万人の労働者の給与を保障することを確約させた。

 ドイツでも死者は5千人を超える。ドイツ左翼党は「看護師と医師にさえ十分なマスクと防護服がない。市民に足りないことははっきりしている」と政府を批判。「病院は緊急事態。病室の職員が不足し、手の消毒の時間さえ十分にない」と実態を訴え、「医療従事者の基本給500ユーロ(約5万8千円)増額、病院と高齢者介護にそれぞれ看護師10万人増員」を要求し「看護師の緊急事態に決意と連帯!」署名に取り組んでいる。

グローバル資本の規制へ

 イラクでは、労働組合、人権団体、イラク労働者共産党など約80団体が、政府に対して、すべての感染患者に必要な医薬品や治療・検査の確保、隔離期間の労働者の賃金補償など統一要求を突きつけている。

 フランス共産党は、病院など公共サービス支出を削減した緊縮政策がこのコロナ被害を生み出したことを批判する。労働者の収入の100%保障や週35時間労働の維持を要求するとともに「資本主義に未来はない。労働者が本当に経営判断に影響力を持てるように企業に新しい民主主義を作る」と訴えている。

 DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)も「進歩的な国有化と社会化の時代が来た。今日の多次元にわたる危機の克服は、社会主義的なもの以外ではまったく不可能だ」と主張する。

 労働者が闘うことで命と健康、労働条件を守り、グローバル資本を規制する大きな流れが生まれている。

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