2020年05月22日 1625号
【民意無視する辺野古設計変更申請 コロナ渦中の強行に県民はノー 6月沖縄県議選の勝利へ】
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沖縄県内の新型コロナウイルス感染拡大防止対策で県庁職員が業務に忙殺されている最中の4月21日、沖縄防衛局は大浦湾側の軟弱地盤の改良工事を行うために設計概要変更承認申請書を提出した。国も県に協力してコロナ対策に力を尽くさなければならないとき、まったく非常識なこの行為は到底容認できない。コロナ対策より新基地建設工事を優先する姿勢をむき出しにし、県民の命を軽視したものと言わざるを得ない。
市民が知事に要請書
沖縄の市民団体「沖縄平和市民連絡会」は4月28日、沖縄防衛局の設計変更申請提出を受け、玉城デニー知事に対して新基地建設阻止のための要請を行った。それは辺野古阻止を先頭で闘う玉城知事を激励する県民の総意でもある。
要請は4点。第1に、現在那覇地裁で審理中である県の埋め立て承認撤回を国土交通大臣が取り消したことに対する抗告訴訟が決着するまでは、設計変更申請などの処分を保留すること。
第2に、昨年2月県民投票の民意をふまえて、埋め立て承認を再撤回すること。
第3に、この間の国による辺野古側への土砂投入が加速していることに対し、知事権限による具体的な規制をさらに強めること。
そして第4に、設計変更申請の審査に入る場合への要請事項としてさらに4つをあげている。一つは、関係図書(図面)をすべて公衆の縦覧に供すること。二つ目に、軟弱地盤による変更申請に伴い環境影響評価(アセスメント)のやり直しを国に指示すること。三つ目に、地質学専門家が指摘するように護岸崩壊の恐れもあり国に地質調査のやり直しを指示すること。最後に、最近鳴音(めいおん)が確認されたジュゴンの調査を行うこととしている。
要請書は、無法・違法のかぎりをつくして工事を強行してきた政府・沖縄防衛局への市民の怒りの表明だ。どれも緊急かつ当を得た内容で、法廷闘争に持ち込まれても堂々と主張できる要請だ。玉城デニー知事がこれらの要請を受け止め、新基地建設阻止の先頭に立って全力をあげるよう県民は願っている。
玉城県政与党を多数に
任期満了に伴う沖縄県議会議員選挙は、6月7日の投開票まで1か月をきった。
新型コロナの感染拡大は沖縄も深刻だ。那覇市の国際通りなど観光地、商業地は閑古鳥が鳴き、島嶼(しょ)ごとに入島制限。高齢者が多い北部やんばるへの入域も自粛が呼びかけられ、島は静まり返っている。そんな中での選挙戦だ。
5月5日現在の立候補予定者は、13選挙区(定数48)で64人。浦添市、うるま市、辺野古のある名護市、石垣市の4選挙区は無投票の可能性がある。2年前に発足した玉城県政の与党勢力が24議席を超えて過半数を維持できるのかが最大の焦点となる。
新基地の設計概要変更申請について、県の審査をめぐっては、もしこの県議選で与党会派が過半数割れで敗北すると大変な事態が想定される。

K8護岸の先にあるサンゴ類の特別採捕許可申請の問題、本部(もとぶ)町塩川港などの公共財産使用協議、名護市安和(あわ)桟橋での赤土等流出防止条例の手続きなど、知事権限で国の無法工事に一定の歯止めをかけていた。これらが野党県議の反対で行使困難になる。また、国との訴訟費用や渡米要請などの予算が可決されず、県の辺野古阻止政策が厳しい制約を受けることは間違いない。
コロナ禍の県政対応で那覇市を離れられず、与党候補者の応援にも行けなくなったデニー知事。厳しい選挙戦だ。負けられない闘いと決意した「集まれ辺野古」など市民グループや新基地阻止をめざす県民は、土砂搬入阻止のゲート前行動が止まっている今、与党系議員を勝利させるため選挙戦に奮闘している。(N)
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