2020年05月22日 1625号

【議会を変える市民と変える/東京都日野市議・有賀精一/石綿被害から市民を守る】

 新型コロナ感染症拡大のため、この3か月の間に世の中が全く変わってしまったかのごとく感じられます。人・モノの流れが止まり、生産もストップ、しかも人と接するなというのですから。

 どう考えても日本の社会にとっては、75年前の敗戦以来の激震であることは間違いないようです。

 さて、今日の話は新型コロナ関連ではなく、石綿(アスベスト)についてです。

 4月に入って、ある市民から相談を受けました。ビルの解体工事に関することです。JR中央線豊田駅北口前の大通りの両側にビルが建っています。右手はUR都市機構豊田駅前第一市街地住宅、現在はラ・ポルトビルという名称です。最近までコンビニだけが営業を続けていましたが、この2月から解体工事が始まりました。このビル以外にも通りの周辺は古いビルがいくつか残っており、今後、解体工事が続いていきます。

 そのような事情もあり、解体工事に伴う石綿対策が行われているのか、チェックしてほしいという要望でした。

 ラ・ポルトビルは1960年代後半から70年代初頭に建設されたようです。

 ご存じの方も多いと思いますが、石綿は1970年から90年にかけ大量に輸入され、多くは建材として建築物に使われた他、化学プラント設備用のシール材、摩擦材等の工業製品に使用されました。現在は、使用等が全面禁止されていますが、今後石綿製品を使用した建築物の解体等の増加が見込まれています。

 ですから、今回のビルも含め、民家等の建築物の解体には細心の石綿対策が問われているのです。

 ちなみに、石綿粉じんを吸入することにより石綿肺・肺がん・中皮腫(ちゅうひしゅ)等の健康障害が発生するおそれがあります。

 新聞やテレビで、石綿による労災をめぐる裁判や補償の問題などがよく報道されています。

 今回の解体工事に関しては地域住民への説明会が開催されていなかったことも、市民の方からすると心配を増幅させたのかもしれません。

 調査依頼を受けてから、都の労働局等に出向き、資料請求をしてきました。

 今日のご報告はここまでですが、自分も学びながら、市民の健康を守り、もちろん解体作業に携わる労働者の健康も守る立場から、今後も取り組みを進めます。

 次回の報告を乞うご期待。
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