2020年05月22日 1625号

【みるよむ(554) 2020年5月2・9日配信 イラク平和テレビ局in Japan 市民に銃を向けるイラクの政府部隊 イラク政府は市民殺害に責任を取れ】

 5月前半の2本の配信では、イラクの市民デモに対する暴力の実態についてインタビューしている。

治安部隊に宗派私兵

 5月2日配信は「市民に銃を向けるイラクの政府部隊」。最初に登場する市民は、デモへの攻撃による被害が非常に大きいことを訴える。デモに参加し素手で立ち向かう若者に「ライフルや催涙ガスで攻撃してくる」。「死者の人数は600人から700人の間と推定され、2万人から3万人が負傷」という市民の犠牲はあまりに大きい。

 別の市民は、平和的なデモを攻撃しているのは宗派の私兵であり、政府がそれを野放しにしていることを批判する。「宗派の私兵が政府の治安部隊の中にいるからだ」と、イラク政府の本性を言いあてている。

殺害犯を逮捕しろ

 5月9日配信の「イラク政府は市民殺害に責任を取れ」でも、政府や支配政党と私兵の関係について焦点があてられる。市民活動家は「権力を持つ政党が私兵を持ち暴力をふるっている」と実態を指摘する。

 「デモ参加者が殺された場所は政府庁舎の目の前であり、治安部隊や情報機関、合同作戦の部隊がその場にいる」。治安部隊はデモ弾圧のためにカメラで現場を撮影している。イラクの支配政党にとって、政府を批判するデモは自分たちに都合が悪く私兵に弾圧させているという構図なのだ。

 別の市民活動家は「こんな政府はだれも信用などしない」と厳しく批判し、「デモ参加者を殺害する犯人を逮捕しろ」と要求する。まったく当然のことだ。

 2020年3月、インタビューが行われた直後、首相指名を受けていたアラウイ元通信相は就任を断念した。市民の闘いがイラク政府を追いつめているのだ。このイラク市民に日本から連帯していきたい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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