2020年05月29日 1626号

【1626号主張 緊急事態宣言は即時中止/軍事費削りコロナ対策へ】

怒りの前に39県宣言解除

 5月14日、安倍首相は緊急事態宣言を39県で解除した。個人補償や感染防止対策へ検査拡大を求める声、底部に広がる市民の怒りが広がりつつあるからだ。

 政府専門家会議は「感染の状況、医療提供体制、検査体制の構築」という解除基準を示したが、科学的根拠はない。特に医療体制は「病床が確保され、ひっ迫していない」とするが、医療者を感染の危険にさらし、外来や救急縮小で行き場を失った患者も。検査体制に至っては、日本の検査数は千人当たりわずか1・8人(5/13)でOECD(経済開発協力機構)36か国中35位の少なさにもかかわらず、「検査件数が一定数以上担保で判断」とこじつけた。

 緊急事態宣言の発出自体、感染実態に基づく科学的根拠もなく「8割削減」とする、改憲ならしへの政治的パフォーマンスだった。感染から発症・検査結果確定まで10〜14日を要することから、厚労省統計数字でも感染のピークは3月末。宣言発出前に新規感染者は減少しはじめていた。

 補償なき「自粛」強要で自己責任を押し付け、人権を制限し、命も生活も奪う緊急事態宣言は不要だ。市民の自律的な感染防止は必須だが、ただちに必要な施策は、感染防止への抜本的検査と治療態勢の拡充、医療・介護をはじめ市民生活に必要不可欠な労働者の感染防護と危険手当支給、あらゆる損失への個人補償、そのための財政出動だ。

検察庁法改悪強行阻む

 「不要不急」の最たる法案が検察庁法改悪案だ。安倍は、「森友」「桜を見る会」や河井参院議員陣営の選挙違反事件など、自身のスキャンダルをもみ消し国家私物化の完成を狙った。

 だが、抗議のツイッターは1千万件に上り、元検事総長ら検察OBや現職高裁裁判官など異例の安倍批判がまき起こった。市民の怒りと抗議世論の広がりは、採決強行を許さず、今国会成立を断念させた。法案を廃案にさせ、安倍を追い込まなければならない。

兵器も新基地もいらない

 安倍は、世論に押され第2次補正予算策定で「家賃支援、学生支援」を口にするが、家賃・学費免除、損失への個人補償は拒否。緊急に必要な検査拡大や医療への財政出動も示さない。

 一方、20年度予算は全く不要な軍事費のオンパレード。弾道ミサイル関連1136億円、F35戦闘機1538億円、辺野古新基地建設840億円ときりがない。韓国は軍事予算の一部をコロナ災害支援金に回した。安倍の軍拡固執は際立つ。

 今こそ軍事費を削ってコロナ感染症対策へ。ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が呼びかける緊急署名を集め、命・・生活・人権を守るスピーキングツアー(5/31・6/7)で声を上げ、政府に実行を迫ろう。

 (5月18日)
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