2020年05月29日 1626号

【みるよむ(555)2020年5月16日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラクの外国人労働者 分断図る政府と資本】

 イラクでも外国人労働者が増加している。一方で、若者の失業率は高いままである。この現状を市民はどう考えているのだろうか。2020年2月、サナテレビがインタビューを行った。

 コメンテーターのサジャド・サリームさんは、政府が失業した若者を保護する対策を取らないで、外国人労働者が増やされている問題を指摘する。

 イラク国内の外国人労働者の実態とはどのようなものか。最初にインタビューに答える商店主は「彼らの存在は非合法=vと指摘する。「労働法制は適用されずひどい労働条件で奴隷扱いされ、暴力的な虐待まで受けている」と言う。

 イラク政府の外国人労働者に対する仕打ちは、米国の「非合法移民」や日本の外国人労働者に対する扱いとそっくりだ。

 商店主は、外国人労働者とイラク人労働者を対立させる政府と資本のやり口も批判する。「外国人労働者はイラク人労働者の仕事を奪っている、イラク人労働者は問題が多いから働かないのだと言って、犠牲になっている労働者の側に責任をなすりつける」。こうした分断攻撃に対し、「私たちは彼らの権利を守るために正式に外国人労働者を受け入れるべき」と訴える。

声を上げられない困難

 2人目の年配の労働者は、実際に職場で外国人労働者とも一緒に働いてきた。「守ってくれる法律はないし、要求もできず、彼らは何でも受け入れざるをえない」と言う。労働法や社会保障制度の保護を受けていないので、声を上げることが難しいのだ。

 グローバル資本は外国人労働者や高齢者などに低い労働条件を押し付けている。今、新型コロナウイルス被害が広がる中で、イラクの労働組合や市民団体がすべての労働者の健康と雇用の要求を政府に突きつけて闘っている。日本からも同様の闘いを進め連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS