2020年06月05日 1627号

【沖縄 コロナ感染 公表拒む米軍 基地・軍隊は市民を守らない 基地建設費用は感染症対策に】

復帰48年 続く事件事故

 沖縄は5月15日で1972年の日本復帰から48年となった。1952年から20年間も米軍施政権下におかれ米軍のしたい放題にされてきたが、復帰後の今も同じように事件事故が続く。

 復帰の日、またしても米兵2人が強盗事件容疑で沖縄署に連行された。犯行は5月12日午後3時白昼に公然と行われた。沖縄のメイン道路国道58号線に面する北谷(ちゃたん)町の両替所で従業員を刃物で脅し現金約690万円を奪って逃走。容疑者情報から米軍憲兵隊も捜査に入っていた。県警は任意での事情聴取をしているものの身柄は拘束できないでいる。日米地位協定があるからだ。

 北谷町では、昨年4月にも海兵隊員が日本人女性を殺害し自殺する事件があったばかり。事件事故のたびに県と地元市町村が米軍に対して再発防止や綱紀粛正の徹底を求めるが、一向に改善されない。日米地位協定の抜本的な改定は急務だ。

 戦後75年間、こうした米兵や米軍属による凶悪事件でどれほどの女性や子どもらが犠牲になってきたか。基地・軍隊のない平和な沖縄を取り戻すことが沖縄県民の最も望むことだ。

米軍の感染者1万1千人

 マスメディアは連日新型コロナ感染者数と死亡者数を発表するが、国内の感染状況すべてを正確に伝えてはいない。とりわけ、在日・在沖米軍関係者はいっさい含まれていないのだ。

 5月8日、米国防総省が発表した米軍の感染者総数は、1万1009人で死者数は27人。驚くべき数字だが、軍事情報として詳細は公表されない。太平洋軍の4隻の艦船でクラスターが発生との情報も、原子力空母セオドア・ルーズベルト416人の集団感染という米CNNの報道からだ。

 狭い車両や潜水艦などに密集して乗務する軍で、人と人との間隔を空けるソーシャル・ディスタンシングなど不可能。感染は一気に広がる。第1次世界大戦時のパンデミック「スペイン風邪」も米軍内からの発生が隠されていたものだった。

 米軍関係者の入院については、米国民の感染入院者の50倍以上の割合で基地内の病院に入院しているという。横田や横須賀、沖縄嘉手納基地からも感染者が出ている。山口県で緊急事態宣言が解除されたにもかかわらず、岩国基地では日本人従業員の子どもたちが通う基地外の小中学校への登校は禁じられた。米軍内部の規定そのものが軍事機密とされている。コロナ感染が広がっても、どのように対処しているのか、正確な情報は公表されない。

軍隊のないコスタリカで

 コロナ禍でも、米軍の存在自体が危険であり、兵士・軍関係者も犠牲にしていることが浮かび上がった。危険な「隣人」と仲良くはなれない。基地や軍隊は市民の命、安全を守らない。

 改めてそのことを示す象徴的な事実が報じられた。軍隊を廃止した中米コスタリカが、コロナ感染の抑止に成功している。コスタリカ保健省によると、5月9日時点で感染者は780人、死者は6人。中南米でも感染が急速に広がる中で犠牲者の少なさは際立っている。

 1949年施行の憲法で軍隊を廃止したコスタリカは、中南米の他の国々よりも保健や教育分野に多くの予算を費やしてきたことが背景にある。国民の90%以上が医療保険に加入。保険未加入者への感染検査も実施してきたという。

 コスタリカ大学のルイス・ビジャロボス元医学部長は、英BBCに「我々の最良のワクチンは、規律正しい教育のある国民と強固な保健制度だ。軍に投資せず、保健や年金、教育に多くを費やしてきたことが非常に重要だった」と語る。

 5兆円を超す軍事費などいらない。米軍関連費用も、辺野古新基地建設をはじめ宮古島や石垣島の自衛隊ミサイル基地建設の費用も、すべてコロナ感染症対策に回すべきだ。軍隊を廃止したコスタリカがその意義を物語っている。  (N)

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