2020年06月12日 1628号

【みるよむ(557) 2020年5月30日配信 イラク平和テレビ局in Japan 政府による暴力が生活を苦しめる】

 イラクでは、腐敗した政府と失業や社会サービスの欠如に対して市民の抗議行動が闘われてきた。社会の混乱も続き、商店の売り上げが落ちている。

 2020年2月、サナテレビは街を不況に陥らせている政府の責任について市民に聞いた。インタビューが行われたのはバグダッドの商業地区カラーダ地区。普段は買い物客で大変混雑するのが普通だったが、今、人通りは閑散としている。

 最初に登場する商店経営者は「爆破事件があり、誘拐や暗殺なども起こったために、人びとが来るのを怖がっている」と指摘する。社会全体が安全ではないのだ。「市民は十分なお金がない…衣服でさえまともに買っていない」と言う。経済的にも困窮している。事態を深刻にさせているのがイラク政府である。

恐怖を広げる政府

 2番目の商店の労働者は「この危機は昨年の12月から始まりました」と言う。市民の怒りが連日の抗議デモとなったが、政府は弾圧するばかりだった。カラーダ地区は市民の抗議行動の中心地、タハリール広場やアル・アンダルス広場に近い。「人びとは恐怖を感じ始めた」と言う。政府の治安部隊や宗派の私兵が道路を遮断して市民の抗議行動を妨害する。抗議行動参加者を殺害したり誘拐を続けている。これでは有名な商業地区であっても近寄りづらくなるのは当然だ。

 状況は、日本の安倍政権下でも似た面があるのではないだろうか。安倍政権は緊急事態宣言の下、ウイルスの「恐怖」で補償なき「自粛」を強要し、市民の集会や抗議行動の自由も奪った。個人補償も商店への補償もなく、失業や減収、商店の閉鎖が続出している。

 グローバル資本、権力者のこのような支配に対して、公正な社会とまともな生活を要求する。イラク市民の闘いと日本の私たちの闘いは共通していると思う。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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