2020年06月19日 1629号

【1629号主張 民主主義的社会主義へ 安倍を倒し社会を変える】

私物化と腐敗の極み

 国家私物化の限りを尽くしてきた安倍政権。またも私物化と腐敗が暴かれた。中小企業向け持続化給付金事業の事務手続きを769億円で受託した「サービスデザイン推進協議会」(竹中平蔵のパソナや電通が設立)が業務を電通に再委託していた。電通は、安倍・自民党の広報宣伝を長年受け持つ国策宣伝会社だ。

 さらに政府の観光振興政策「Go Toキャンペーン」。事業費の2割、3000億円超の異常な業務委託費は公募停止となった。1兆6800億円の事業そのものに「今守るべきは市民の命」「優先順位が違う」「事業自体不要」と野党、市民から強い批判があがっていた。

 事ここに至っても国家財政を「お友達」優先で投入しようとする安倍に任せていては、命、仕事、生活、民主主義まですべて破壊されてしまう。広範な市民の怒りの中、どの世論調査でも支持率は急降下だ。

差別、貧困構造と闘う

 米国では、ミネアポリス警察による黒人男性ジョージ・フロイドさん殺害抗議の大規模デモが広がる。

 新型コロナウイルスによる死亡率は白人で4700人に1人に対し、黒人は2000人に1人。黒人の死亡が2・4倍も多い。この不均衡は米国の人種差別の根深さを改めて暴いたとDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)は指摘する。

 米国各地では外出禁止令がなお続く。感染や弾圧の危険を冒しても市民が街頭での直接行動に立ち上がる原動力は差別と貧困への怒りだ。それは差別を生み出す構造そのものの変革へと進みつつある。

 民衆の闘いに直面したトランプ大統領は、連邦軍投入による鎮圧まで口にしたが、政権内部からも反対が噴出。市民の闘いが差別主義者を追い詰めている。

 黒人差別反対デモは世界に広がり、日本でも東京、大阪で行われた。検察庁法に続き、世論は種苗法改悪など安倍の重要政策を中止に追い込んだ。辺野古新基地が争点の沖縄県議選では、安倍暴走に立ち向かう玉城デニー県政与党が過半数を獲得。またも民意を示した。

 日米政権は末期症状だ。闘えば安倍、トランプを倒し、社会を変えられる。

危機を社会変革へ

 各国政府も日本の政権、都政、維新大阪府政も、医療・福祉への公的支出を極限まで切り縮めてきた。全国の保健所は20年間で半数近くまで削減された。コロナ感染被害拡大の根本原因は新自由主義政策にある。

 コロナ危機で国・自治体の果たすべき役割が再認識されている。新自由主義衰亡の予測が広がりつつある。

 失業、貧困、差別への対案は、人間の尊厳を守る生存権と雇用の保障、医療・教育の完全無償化を実現する民主主義的社会主義である。国際連帯で根本的変革をめざそう。

  (6月7日) 
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