2020年06月19日 1629号

【沖縄県議選 玉城デニー県政与党が過半数 揺るがぬ辺野古阻止の民意 現地闘争 再スタートへ】

 任期満了に伴う沖縄県議会議員選挙(定数48人)が6月7日投開票され、辺野古新基地建設阻止を掲げる玉城デニー県政の与党が25議席を獲得。「辺野古反対」議員が過半数を維持した。

 2年前の知事選で翁長雄志前知事の遺志辺野古阻止≠引き継いだ玉城デニー知事。初めてとなるこの県議選は、2年間の県政への信任が問われるとともに、2年後の知事選に向けた「中間評価」と位置づけられる重要な戦いだった。

 選挙結果を受け、与党系議員25人に対し、自民など野党系と公明ら中立系議員を含めれば23人という議会構成となる。与党から議長1人を選出するため勢力は24対23と拮抗(きっこう)する。過半数を維持したとはいえ、「薄氷の勝利」だった。

 本土より圧倒的に投票率が高かった沖縄だが、今回の46・96%は過去最低。投票日は土砂降りで大雨洪水警報が出た11市町村など悪天候も重なった。さらに新型コロナウイルス対策で、投票所も準備と運営に四苦八苦。期日前投票は過去最多だったが、感染への危惧もあり当日は多くの有権者が足を運ばなかった。


コロナ下 厳しい選挙戦

 新型コロナの感染防止対策をともなう選挙戦は、誰もが経験したことのない厳しい戦いとなった。選挙戦では、候補者をはじめ宣伝する運動員もマスク、街頭演説を聞く支持者もマスク。出発式も決起集会もまともに開催できず、支持者と握手もハグもできない選挙戦は、支持拡大にとっては致命的で各陣営は苦心を余儀なくされた。

 そんな中、玉城デニー知事は「オール沖縄」推薦の候補者35人一人ひとりとコラボし、各選挙区の有権者にそれぞれの地域課題と結んだ政策を訴えた。ツイッターやLINE(ライン)で「辺野古新基地建設の2・5兆円の埋め立て予算はコロナで苦しむ国民の補償に」「平和で誇りある新時代沖縄をみんなでつくりあげる」と呼びかけた。「私のブレない信念です。『三密』を避けながら投票所に足を運んで民意を示しましょう」と連日、何度も発信された。SNSの発信で投票所に足を運んだ若者世代も多かったという。

 「あつまれ辺野古」共同代表の儀保昇さんは、「とにかく勝ったことが大事」と選挙結果にひとまず安堵したが、宜野湾市で応援していた「オール沖縄」が推す2人のうち1人が惜敗、地元大宜味(おおぎみ)村の国頭(くにがみ)選挙区でも推していた1人が落選するなど、選挙結果は厳しいものとなった。

 同じ「あつまれ辺野古」共同代表の奥間政則さんも「自民党が議席を伸ばし、県政与野党が拮抗する厳しい結果だ。与野党逆転を狙う政権は次の知事選をターゲットにしている」と選挙結果を分析。「6月10日水曜日にも工事が再開されるとの情報がある。いよいよ現場での闘いは正念場を迎える」と決意を語った。

工事再開ねらう政府

 辺野古新基地建設の工事作業員からもコロナ感染者が出たため2か月近く工事は止まっていた。だが、政府・防衛省は工事再開に踏み出そうとしている。

 辺野古崎の辺野古側2区域埋め立て工事費135億円を増額する問題が暴かれ、濁水処理施設プラント未設置のままの埋め立て工事強行が県条例に違反するなど、新たな追及する課題も明らかになっている。

 県外からの入域「自粛」を要請していた沖縄県は6月19日以降規制を解除する方針で沖縄行きが可能となる。現地、辺野古キャンプ・シュワブゲート前の行動「自粛」も見直され、闘いは再スタートを切る。

 破綻あらわな辺野古新基地建設計画。支持率低迷で窮地に立つ安倍政権もろとも打ち砕く闘いに立ち上がろう。(6月9日 N)

 
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