2020年06月19日 1629号

【日本でも新自由主義と決別を】

 ドイツ左翼党の要求は、ドイツだけに該当するものではない。世界共通であり、日本でこそこうした要求を掲げなければならない。

    * * * 

 全国各地で、自社ビルを持たない小規模事業者はたちまち家賃負担の重さに押しつぶされた。ネットカフェ難民は住居≠失った。興行収入を断たれた芸術関係者は生活の糧を断たれた。自己責任を原則とする新自由主義政策のせいだ。

 子どもたちは、なんら根拠のない学校閉鎖で教育を受ける権利を奪われた。感染症病床確保のために、多くの人が医療アクセスの機会を奪われ、困難に直面した。「(感染)リスク集団の隔離・分離」は面会制限となって現れ、入院・入所者は家族と交わる人間的な時を失っている。これも緊縮財政と民営化を進める新自由主義による。

   * * *

 コロナ危機克服後の方向を巡りグローバル資本と市民の綱引きが始まっている。

 人びとの生存を守る労働者への感謝と敬意≠ヘ拍手イベントにとどめず実体を持たせなければならない。
 90年代から引き続く深刻な看護師不足。際限のない長時間労働と無賃労働を強いられる医師・教師の待遇。介護労働者の低賃金・不安定雇用。医療・介護・教育労働者をはじめ生存と人権擁護に携わるすべての労働者に感謝と敬意≠ノ見合った賃金・待遇・人員を保障する。そのために「利潤よりも人間を優先」させ、これらの分野を公的事業として市民の手に取り戻し充実させることが必要だ。

 グローバル資本を代弁する政府に任せれば、市民の良心から始まった拍手イベントはガス抜き≠ノ利用され、感謝と敬意≠ヘ軍用機ブルーインパルスのショーなど自衛隊賛美宣伝にすり替えられてしまう。

   * * *

 コロナ危機克服の対策は、利潤より人間優先の政策へと転換させる契機とならなければならない。
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS