2020年06月19日 1629号

【高齢者の居場所は奪わせない 命を守る当たり前の保障を 西宮市要請】

 5月29日の夕方、デイサービスの利用者さんを送った後、スタッフとともに西宮市の介護保険課にかけつけた。4月、コロナでの事業所収入減の補填要求に続き、今回は介護従事者が安心して働ける環境整備や手当の支給を要請した。

 4月頃から病院や介護施設のクラスター発生で、マスク、防護服が不足した劣悪な環境現場がメディアで取り上げられ、国の補正予算で特殊勤務手当が付いた。

 緊急事態宣言が解除され、兵庫県や西宮市でも感染対策費等に充てる予算が増額された。しかし、あくまで感染者が発生した場合に限り支援を行う内容だ。

 私たち介護従事者は「感染者を出してはいけない」と精神的にもぎりぎりの状態で現在まで仕事をしてきた。だが、いまだにマスク、消毒液など感染防護の物資も不足し事業者任せ。安心して働ける環境を整えるのは行政の責務だ。「黙っていては何も変わらない!」と、直接要請に至った。

 初めて訴える現場スタッフは、デイで過ごす利用者さんの写真を見せながら「高齢者の方と直接、接する仕事で、私たちはコロナ感染の緊張の中、絶対うつさないと気を張りながら日々過ごしている。感染で2週間デイに来れなくなるとその人の居場所がなくなり、生きがいさえも奪うことになる。この厳しい状況の中での職場を保障してほしい!」。訴えた後に「その人の命を守る当たり前の保障がある社会にするために、これからも声を上げていきたい」と話している。

 回答は2週間後。宇治市など独自で備品経費の助成金を出す自治体が出てきた。他の事業所にも広げ、さらに声を上げたい。

(西宮市・デイサービスつむぎの家・畑京子)
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