2020年06月26日 1630号

【みるよむ(559) 2020年6月13日配信 イラク平和テレビ局in Japan バグダッドのムタナッビー通りと市民蜂起 社会変革への出発の場】

 バグダッドの中心部にあるムタナッビー通りは古書店街として知られ、多くの知識人や芸術家が集まる場所だ。10月市民蜂起やデモとも密接な関係があるとされる。2020年2月、サナテレビは文化人たちにこの通りの果たしている役割について聞いた。

 最初に登場する作家は、ムタナッビー通りの書店の書物や図書館、公開討論会などが、人々の社会に対する問題意識を高めてきたことを語る。それが社会変革への意欲と行動に結びつく。「あらゆる独裁国家が民衆と社会の中で意識が高まるのを防ごうとする。知識や意識を広げることは、民衆を無知のままに置こうとする支配者にとって都合が悪い」。ムタナッビー通りはまさにそういう場だ。「思想と革命の間にはつながりがあり、ムタナッビー通りとカシラ広場、タハリール広場の間にも間接的なつながりがある」と強調する。

 年配の退職者も「ムタナッビー通りは、社会の最も高い水準の部分の開拓者である」と言う。ここは「若者の、特に新しい世代の意識を高める」場所なのだ。

自由と社会的正義を

 ムタナッビー通りでは様々な文化行事が行われている。イラク労働者共産党も公開の市民討論集会を開いた。自由で開かれた批判精神に満ちたムタナッビー通りは、イラクの社会変革の出発点ともなる場なのだ。

 3人目に登場する作家は「ムタナッビー通りは、2019年10月1日以来のバグダッドや他の州での市民蜂起を支える役割を果たしました」と明言する。

 何か月も続く市民蜂起は、民衆の一時的な生活苦や政府に対する不満からではない。デモをする市民も知識人も、同じように「安全で安心なイラクを望み、汚職や強奪者のいないイラクを望み、自由と社会的正義が広がるイラクを望んでいる」。自由と社会正義を求めるイラク市民と連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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