2020年07月03日 1631号

【今必要なコロナ対策はこれだ/でたらめ腐敗の極み安倍政権打倒/命と生活守る民主主義的社会主義へ/MDS集会基調報告(概要)】

 MDS(民主主義的社会主義運動)は6月20日から各地で集会を開催している。安倍政権は国会会期延長に応じず逃げをはかったが、現職国会議員逮捕などその腐敗ぶりは隠しようがない。現局面の評価と闘いの方針についてMDS集会の基調報告(概要)を紹介する(まとめは編集部)。

 2012年第2次安倍政権発足以来、最低の支持率となった。毎日新聞の調査(5/23)では支持27%、不支持65%。黒川弘務東京高等検察庁検事長の問題だけでなく、でたらめな新型コロナウィルス対策への怒りがある。コロナ対策を「評価しない(朝日57%、毎日59%)」が、「評価する(朝日30%、毎日20%)」を圧倒した。

 安倍政権は何度も政策の撤回、修正を繰り返した。昨年末の大学入試英語試験民間委託撤回、4月の困窮世帯30万円給付を一律10万円給付に修正、5月検察庁法改定の成立断念、「9月入学」事実上断念など。野党、市民の反対を押し切ることができなくなっている。安倍政権打倒のときがきた。

モリ、カケ、桜と同じ

 でたらめなコロナ対策の典型例は、まず「アベノマスク」だ。最大受注企業の興和は政府担当者から「量だ。とにかく早くほしい」と言われ、大量の不良品につながった。「官邸の声の大きな人が言ったことが通り、無理に無理を重ねた」(政府関係者、6/1 朝日)。政権中枢に居座る官僚たちは、市民の命、生活を守ることではなく政権維持、自己保身しか考えていない。

 持続化給付金事業も同じ。給付事業をサービスデザイン推進協議会(以下、協議会)に769億円で委託。それを電通に丸投げ、電通は関連会社や人材派遣会社パソナ(竹中平蔵が会長)に再委託した。3次下請けで働く派遣社員は「経理の用語も何も分からない素人が大半、本当に大丈夫なのか。罪悪感すらある」(6/11東京)と言う。

 

 このシステム構築に深くかかわったのが前田泰宏経産省中小企業庁長官である。16年の協議会設立時に、大臣官房審議官として関与した前田は、電通社員業務執行理事・平川健司などとパーティをする仲だ(『週刊文春』6月18日号)。事業委託の公募(4/8 )前に協議会と経産省が面談していた。電通・榑谷(くれたに)典洋副社長は「不当な利益ではない」と言うが、そもそもコロナ対策で利益を得ることが不当だ。経産省や自治体が職を失った人を雇用し、直接事業実施すればいい。

 観光業支援のGoToキャンペーン事業費1兆7千億円。うち委託費は3千億円。家賃補助事業はリクルートが942億円で受注している。

 官僚と電通、パソナ、リクルートなどの企業がぐるになって税金をむさぼっている。コロナ危機に苦しむ市民や中小企業に対し、少しでも多くの支援を迅速に届けるという発想は全くない。森友、加計や桜を見る会でしてきた、税金を私物化し仲間で山分けするという構造がコロナ対策でも繰り返されているのである。

医療 労働 教育 介護

 いま必要なコロナ対策はまず第1に、医療体制を整備することだ。必要な検査ができる体制(PCRセンター、検査機器、検査要員)と感染病床の確保。経営悪化する病院への支援。公立病院の統廃合撤回、医療従事者の待遇改善。保健所、地方衛生研究所の拡充だ。

 第2にコロナ危機で賃金減、解雇にさらされる労働者の生活を防衛することだ。イタリアのようにコロナ危機の間は解雇禁止にするべきだ。また労働者は休業中も賃金100%保障されなければならない。

 第3に教育を受ける権利を奪われた生徒、学生に対し、安心して教育を受ける条件を至急整備することだ。入れ替え登校では教育水準を確保できない。全日登校し、授業を受けるためには20人学級しかない。その実現には教員の10万人増員が必要である。

 教育の完全無償化―学校給食費無償化、奨学金をすべて給付型に、大学学費無償化を実現しなければならない。

 第4に介護サービスを安定持続させるため、介護事業所への支援、介護労働者の大幅な待遇改善(月10万円アップ)が必要である。

 まずこれらを優先すべきである。(MDS政策パンフレットをご覧ください)

新自由主義を一掃

 安倍政権は降伏したわけではない。接触確認アプリ導入、マイナンバーカード利用拡大、スーパーシティ法など個人情報を国家が完全に管理し、グローバル資本の支配システムを維持しようとしている。テレワーク推進も、労働者を孤立させ保護をなくし、完全支配することが狙いだ。安倍政権のコロナ対策は、グローバル資本の利益と市民労働者への監視、支配強化にその本質がある。

 しかしコロナ危機は、新自由主義路線では市民の命、生活が守れないことを誰の目にも明らかにした。これに終止符を打つのが民主主義的社会主義である。▽富裕税、金融取引税創設▽民間大病院の公有化、製薬資本の国有化▽税による介護▽教育完全無償化▽軍事費の大幅削減などを実現する道だ。

 米国で差別主義者トランプ大統領を追及するDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)と連帯し、排外主義、新自由主義を世界から追放しなければならない。

 こうした時期に、東京都知事小池、大阪維新がコロナを利用し策動を強めている。新自由主義推進という点で安倍と同じだ。小池は8つの都立、6つの公社病院を独立行政法人化する「新たな病院運営改革ビジョン」を撤回していない。大阪維新も万博、カジノ推進、都構想実現の方針は変えていない。大阪市立住吉市民病院を「二重行政の無駄」の典型とやり玉に挙げ、廃止した。

 東京都知事選において宇都宮けんじ共闘候補とともに闘い都政を変革しよう。維新が11月実施を狙う大阪都構想住民投票の強行を許さず、維新を葬り去ろう。

 安倍政権を打倒し、市民の命と生活を守り、民主主義的社会主義に前進しよう。
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