2020年07月03日 1631号

【韓国ソソンリは今 サード強行搬入に抗議続ける村民】

 人口100人余りの村である韓国星州(ソンジュ)ソソンリは、米軍サード(高高度迎撃ミサイルシステム)配備のために平穏な日常を何度も奪われてきた。コロナ時局の中、お年寄りが多いソソンリ住民も感染防止のため2月から集会を自粛してきた(サード基地前での毎日の抗議行動は継続)。

 5月28日深夜から翌29日未明にかけて、突然4千人もの警官が投入され、サードの追加配備が強行された。午後8時36分、「現在、警察は再びソソンリを侵奪するために集結中です」と村のスピーカーから緊急放送。高齢の住民も含む約50人が家から飛び出して道路に座りこみ、腕と腕をつないだ。密集した警官によってすべての道が封鎖され、深夜から早朝にかけて、警官によって一人ひとりの住民が引きはがされた。けがをする人、1か所に固められてトイレにも行けず体調を悪くする人が続出した。

 「文在寅(ムンジェイン)は距離を置けと言ってきたが、ソソンリの住民はコロナにかかって死ねということか」と怒りの声が上がった。陸上からサード装備を搬入する場合は事前に協議する約束も守られなかった。住民の命と健康そして最低限の約束すら守らない文在寅政権に対する激しい憤りで、住民と支援者たちは徹夜の抵抗を続けた。明け方5時、サード機器が密集した警官に守られながら搬入された。

警察前で座り込み

 その日から、ソソンリではサード搬入路での監視行動を再開した。6月3日からは、住民強制排除を実行した星州警察署長の責任ある謝罪を求め、警察署前での抗議集会が連日続けられている。初日はハルモニたちが喪服を着て座り込み、徹夜の泊まり込み行動になった。2017年のサード搬入強行時に警察が行った人権侵害が告発され、調査委員会から人権に対する配慮が勧告されたが、それも守られなかった。6月18日には、ソウルの警察庁前でも抗議集会が持たれた。

 一方で、文在寅政権は軍事費を約3・6%(約1600億円)削減してコロナ対策に回す方針だ。しかし今回強行されたサード追加配備は、文政権が米軍と共同して軍備拡大を進める基本方針を持ち続けていることを示している。

 5月、ソソンリなどから日本に700枚以上のマスクが送られてきた。マスクに書かれた「ともに平和」の言葉をかみしめ、連帯をさらに深めていきたい。

(ZENKO兵庫・松谷卓人)



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