2020年07月03日 1631号

【下町の温かみがステキ/明日の食事を心配することのない社会へ 千住パントリー 東京・足立区】

 「今仕事が終わって。これから保育園に子どもを迎えに行き、そちらに行きますが大丈夫ですか」と連絡が入ったのはパントリー終了時刻からさらに30分過ぎた6時30分。「はい、お待ちしています」。柔軟に対応できるのは市民運動の強みだ。6月18日の臨時パントリーは平日。働く母親に代わって祖母が受け取りに来る家庭や高校生が小学生を連れて食品を受け取りに来る姿も見受けられた。

 保育園帰りという子どもは遊びたい盛り。ソファをトランポリン代わりに飛び跳ね、「よーいどん、って言って」とパントリー内を駆け回り、まだ遊びたそう。名残惜しそうに親の背中を追って帰っていく。

 コロナ対応で臨時に月2回開催を継続しているが、6月6日は49世帯の申し込みで過去最多。運搬もレンタカーを借りて対応と、人的にも金銭的にもパントリーの限界に挑戦している状態だ。それでも、様々な家庭の様子を見ていると「私たちが頑張らなきゃ」と思え、楽しいところがパントリー活動の良さだと思う。

 ある方は「この子の靴、いただいた無料物資提供案内に申し込んで貰ったんです」とピカピカの靴を履いた子をうれしそうに眺めた。

 コロナ禍を受け参加した方は「とても助かる。初めて参加したが、雰囲気がとても温かく癒された。下町の温かみ素敵。久しぶりに人と触れ合った気がしてとてもうれしくなった」と、こちらもまたうれしくなる感想を寄せてくれた。

 中には、休業が終わり仕事も始まり少し落ち着いたため「次回はもう大丈夫です」とパントリーを“卒業”していかれた方もいる。

 見えない貧困に立ち向かうってこういうことか、と実感する日々だ。

(平和と民主主義をともにつくる会・東京 土屋のりこ)

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