2020年07月03日 1631号

【「命と健康を守る」は真っ赤な嘘/やってる感の小池でいいのか/弱者に冷たい極右の本性】

 7月5日に迫った東京都知事選。再選を狙う小池百合子知事は「コロナから命を守る」とのメッセージを前面に押し出している。しかし、政治家・小池百合子の実像は「命を守る」とは真逆である。メディアが伝えない「極右レイシストの本性」をみていこう。

コロナを選挙利用

 新型コロナウイルスの新規感染者が増えているのに、しれっと解除された東京アラート。小池の立候補表明(6/12)に合わせたことは明らかで、政治利用との批判が相次いでいる。しかし、当の本人は平然と「話題になったことが意義」と言い切った。この発言が示すように、小池都政のコロナ対策は「やっている感」の演出に終始した。

 そもそも、東京都の対策は大きく遅れていた。東京五輪の7月開催に小池が執着していたからだ。それなのに延期が決定的となった途端、「ロックダウン」「感染爆発の重大局面」といった言葉で緊急事態を煽り始めた。コロナを演目とした小池劇場の開幕である。

 都の予備費を使ったコロナ対策12億1300万円のうち、「テレビ・ラジオCM枠の確保・CM制作」に5億6800万円、「新聞広告」に2億3800万円と、宣伝広告に約9億円がつぎ込まれた。その結果、都民は小池が出演するCMを連日見せつけられることになった。公金を使った都知事選への事前運動だ。

 一方、都内の病院は医療崩壊の瀬戸際に立たされていた。PCR検査の実施状況もきわめて低い水準にとどまった。だが、その打開策について小池は何の指導力も発揮しなかった。メディアと結託して作り上げた「命を守るために戦う都知事」のイメージはまったくの虚像だったのだ。

沖縄ヘイトを公然と

 「学籍詐称疑惑」(カイロ大学卒は嘘)が再び浮上している小池だが、その政治家人生自体が嘘の固まりである。日本新党から政界に進出したとき以来、彼女は自民党の「古いオジサン政治家」批判を得意としてきた。4年前の都知事選でも「しがらみだらけの男社会に斬り込む健気なヒロイン」を演じてみせた。

 しかし、小池の実像は自分が批判してきた「オジサン政治家」そのものである。いや、それ以上に極右的であり差別的だ。強い上昇志向の裏返しか、社会的弱者には異様なほど冷たい。

 阪神大震災の被災者が衆議院議員時代の小池に窮状を訴えたことがある。小池が生まれ育ち、最初の選挙区でもある兵庫県芦屋市の女性たちだ。指にマニキュアを塗りながら応じた小池はこう言い放った。「もうマニキュア、塗り終わったから帰ってくれます? 私、選挙区変わったし」

 環境大臣時代はクールビズの宣伝ばかりに熱心で、被害者の救済に一刻の猶予もない水俣病やアスベスト被害への対応は役人に丸投げ、真摯に取り組もうとしなかった。口では脱官僚支配と言いながら、実際には官僚の振り付けに従い、救済金を低く抑えることだけに徹したのである。

 沖縄担当大臣、防衛大臣の時は辺野古への新基地建設を推進。サンゴ礁を広く埋め立てる浅瀬案を支持した。「沖縄のマスコミとアラブのマスコミは似ている。反米、反イスラエルでそれ以外は出てこない」と言い放ったこともある。

 公職者にあるまじき差別発言も平気でする。玉城デニー衆院議員(当時。現沖縄県知事)が特定秘密保護法案の条文を示し、政府を追及したときのことだ。小池は「どこに書いてるんですか」「日本語読めるんですか」とヤジを飛ばした。日本人の母と米国人の父を持つ玉城議員をあざけったことは明らかだ。

虐殺の歴史を否定

 都知事になってからは、自らの人気取りのために排外主義者を喜ばせる政策を次々に実行した。韓国人学校に対する都有地貸与の白紙撤回がそうだ。小池は「都民ファーストの観点」から行ったと自慢した。

 最も悪質なのは、毎年9月1日に行われている関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式への追悼文送付を拒否したことである。小池は理由を説明する中で「様々な歴史的な認識があろうかと思う」と述べた。多くの朝鮮人が虐殺されたことを歴史的「事実」とは認めないということだ。

 多様性を街づくりの中心に掲げる東京都の首長の正体が排外主義を自ら煽る極右レイシストだなんて、国際的恥さらしとしか言いようがない。

  *  *  *

 「自粛から自衛に移る」。新型コロナをめぐる対応で小池はこう語った。「自己責任を意味するのか」との質問には言葉を濁したが、図星であろう。そういえば、イラクで日本人3人が拘束された事件で「自己責任」論を真っ先に唱えた政治家は小池だった。  (M)

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