2020年07月03日 1631号

【一人ひとりの生存権がかかった選挙/東京都知事選 7月5日投開票/宇都宮けんじさんが訴え/医療・補償充実、病院独法化中止、カジノ誘致中止を3大政策に/自己責任社会から社会的連帯の社会へ】

 東京都知事選が6月18日、告示された。

 元日本弁護士連合会会長の宇都宮けんじさんが立候補し、都庁第一本庁舎前で第一声を上げた。「コロナ災害に伴う休業要請のしわ寄せはとりわけ、シングルマザー、非正規労働者、障がいをもつ方がたなど社会的経済的弱者に及んでいる。都民一人ひとりの生存権がかかった選挙だ」

 重視する政策は3つ。第1に、コロナ感染症から都民の命を守る医療体制の充実と補償の徹底だ。「私が最も心を痛めた報道は、練馬区のとんかつ屋さんの火災。油をかぶった形跡があり、将来を悲観した焼身自殺ではないかという。経営難、経済的な困窮で自ら命を絶つ人が出てきている」

 第2は、都立病院・公社病院の独立行政法人化をやめ、充実・強化すること。これらの病院は都内の感染患者の約7割を受け入れている。「小池知事は昨年12月突然、独法化を発表。コロナ感染が広がる中でも方針を改めていない。コロナ対策をとると言いながら、真逆のことをやってきた」

 もう一つは、カジノ誘致計画をきっぱりと中止すること。「カジノは私が長年取り組んできた多重債務問題を再燃させる」

 宇都宮さんは「自己責任社会の脆弱性があらわになった。自己責任社会を転換し、人びとがつながり合う、支え合う、社会的連帯が重視される社会が今こそ求められる」と力を込めた。

オンラインでも発信

 午後は、四谷の選挙事務所からZoomトーク。コロナ禍で学費の負担に苦しむ学生たちや「#検察庁法改正案に抗議します」の最初の発信者、笛美(ふえみ)さんらとオンラインで語り合った。「誰も検察庁法のこと騒がないなら、一人でやろうと思ってツイッターデモを始めた。それが900万を突破。廃案になって本当にうれしい」と話す笛美さんに、宇都宮さんは「ツイッターの横の連帯で廃案にしたのは画期的なこと。私自身も、写真付きでツイートできるまでになり、“革命的”に変化した」と応じた。

 夕方、新橋駅前SL広場で街頭演説に立つ。国民民主党小沢一郎衆院議員のメッセージと社民・福島みずほ、共産・志位和夫、立憲民主・枝野幸男各党首のスピーチのあと、宇都宮さんは「エッセンシャルワーカーという言葉が広がった。感謝の言葉だけでなく、その労働者たちの劣悪な労働条件を改善する運動の支援が大事だ」と強調した。

 オリンピックについては「専門家が開催困難と判断した場合は直ちに中止すべき。浮いた予算はコロナ災害に苦しむ都民の支援に充てよ」と求めた。

 「たった一人のツイッターから多くの数が集まり、政府の方針を変えた。私たちは微力だが、無力ではない」。宇都宮さんの確信に満ちた言葉に、SLも力強い汽笛でエールを送った。

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