2020年07月10日 1632号

【1632号主張 コロナ危機克服し社会を変える/2020 ZENKO in 大阪へ】

イージス撤回は象徴

 安倍政権は6月24日、国家安全保障会議で陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の秋田市新屋(あらや)、山口県萩市むつみの両演習場への配備撤回を決めた。このイージス配備は安倍が肝入りで進めてきたものだ。17年2月、トランプ米大統領との初会談で「爆買い」を約束。同年末に導入を閣議決定し、翌年「防衛計画の大綱」にも盛り込んだ。配備強行に固執していたが、問題噴出と住民の反対の前についに撤回に追い込まれた。

 これは、コロナ禍のアベ政治―戦争路線破綻の象徴である。度重なるコロナ対策の失政、東京高検検事長の定年延長、電通やパソナなどアベ友会社へのコロナ危機便乗の利益供与、河井前法相夫妻の選挙買収など、でたらめと腐敗が暴かれ、内閣支持率とともに安倍の求心力は確実に低下。看板としてきた政策の撤回を次々と余儀なくされている。

辺野古も軍事費も不要

 河野防衛相は撤回の理由を「コストと期間」とした。政府試算で4500億円以上かかる▽配備予定は25年度以降▽「ミサイル防衛」にも使えない―防衛省の論理でも当然だ。同様の理屈では、2・5兆円もの費用と13年以上の工期を要し、技術的に建設不可能な辺野古新基地も白紙撤回が必然となる。米下院は、国防予算を決める国防権限法案の審議で、初めて埋め立て予定地大浦湾の軟弱地盤への懸念を表明した。民意と現場の直接抗議を背景に、玉城沖縄県知事や市民団体が米国に働きかけた成果だ。

 しかし、政府は「辺野古が唯一」を崩さない。それどころか、安倍は敵基地攻撃能力の保有を視野に軍事戦略を見直すとまで表明。コロナ対策を最優先すべき時に、軍事緊張をあおる異常さだ。一刻も早く安倍政権を退陣させ、軍事費を医療、雇用、教育、福祉に回さなければならない。

社会変革を国際連帯で

 コロナ危機は、グローバル資本主義のもとで搾取・抑圧されてきた市民・労働者に一層の被害をもたらしている。社会を根本的に変革しなければ、私たちの命と暮らしは守れない。

 全米、全世界で広がる黒人差別抗議行動も、コロナ危機で暴露されたグローバル資本主義による命切り捨てへの怒りが根底にある。

 平和と民主主義をめざす全国交歓会が呼びかける「コロナ危機の克服を国際連帯で 2020ZENKOin大阪」(7/25〜7/26)には、反トランプ闘争の先頭に立ち躍進するDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)をはじめ世界の変革勢力や全国の反基地運動がオンラインを含め結集する。全国の市民・労働者に広く参加を訴え、コロナ危機を克服する民衆の連帯を築き上げよう。

  (6月28日) 
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS