2020年07月10日 1632号

【高齢者も障がい者も安心して暮らせるあだちへ 区は介護負担軽減へ公費支出を 東京・足立】

 6月20日東京都足立区で、「高齢者も障がい者も安心して暮らせるあだちを実現するつどい」が開催され、23人が参加した。「介護保険は破綻している!今こそ公的介護保障へ」との講演を受け、区への介護問題陳情提出に向けた署名集めなど行動方針が確認された。

戸別訪問で働きかけ対話

 つどいを主催した平和と民主主義をともにつくる会・東京、事務局長の石島孝さんは「楽しい取り組みだった」と組織化を振り返る。

 4月からコロナの困り事相談も兼ね都営住宅779軒の戸別訪問を行い、会ニュース読者にも陳情署名受任者となること、つどいへの参加を働きかけてきた。「『介護保険料の値下げなど、要求を実現するために一緒にやりましょう』とストレートに働きかけることが楽しかった」

 戸別訪問し会話する中で「署名集めます」。「言い出したら切りがないくらい安倍政権には言いたいことがある」と、母親を介護する60代くらいの女性が署名受任者に。高齢化社会で介護保険料が高くなっても仕方ないという「勘違い」があると、石島さんは指摘する。「大富豪の孫正義さんが足立区に住んでいても月1万7770円なのに、住民税非課税の人が月6580円も取りたてられる。おかしい。所得税は最高税率75%から45%に下げ、不足分を消費増税で。政府がいう『カネがない』は金持ち優遇を進めた帰結。保険料を下げるために公費支出を求めていきましょう」

保険料あって介護なし

 講演では、介護保険業務に携わってきた立場から制度の欺瞞(ぎまん)性が語られた。

 介護保険は強制徴収で、介護費用の約2割を全高齢者で負担する。年金は引き下げられる一方なのに、介護保険料は毎回引き上げられる。当初平均月額2911円が現在5869円。10年後には1万5千円を超えるだろう。要介護認定は18%程度で8割の人にとっては掛け捨てなのに、十分な葬式ができるほどの金額を強制徴収されている。

 給付と負担は連動させられ、介護の充実=保険料値上げとなる。貧しい人は施設に入れず在宅でヘルパーに頼るしかない。国は公費を増やさず給付削減と負担増を強いる。介護保険のいう「支え合い」は、利用者の犠牲と負担に他ならない。

 介護保険の産みの親、当時の老健局長も「国家的詐欺」と言う始末だ。国の介護保険への支出は2・7兆円なのに軍事費に5兆円。あと1兆円出せば介護労働者の賃金を8万円上げられる。今の介護保険はまさに「保険料あって介護なし」。不服審査請求をのべ2万件やってきた。「納得できない」と声を上げ、闘いなくして老後の安心なし。

署名500筆集め陳情へ

 「保険料が上がるカラクリがよくわかった。23区で足立は最悪。区がお金を出そうとしないのは良くないと改めて思った」と感想を語るのは、区内で小規模多機能事業所を経営する大久保信之さん。「コロナ対応で万が一休業になったら、自分たちが(訪問介護に)行くつもりをしていた。区に聞いても厚労省の指針を出すだけで、不安なまま2、3か月を過ごしている」

 北区で障害サービス事業所を経営する関口和幸さんは「なんとかできないかという思いでいっぱい。負担軽減の給付金を公費で出せと要求していくことだ。障害者の65歳問題もあり、支援切り下げを許さず、取り組みたい」と熱く語った。

 ともにつくる会・東京は4月から署名126筆を集めた。秋の陳情提出までに500筆を集め、区に対し公費での介護保険料負担軽減を運動の力で迫っていく。



 
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