2020年07月17日 1633号

【1633号主張 都知事選 宇都宮さん大健闘 命、生活を守る希望を示す】

小池都政批判の拡大

 7月5日投開票の東京都知事選は、小池百合子知事の再選を許したが、市民と野党の共闘候補・宇都宮健児さんは次点と大健闘した。反小池票の3位山本太郎候補の得票と合わせれば、前回都知事選の野党統一候補の得票率20・5%を上回る24・5%となる。

 小池再選の要因は、新型コロナウイルス問題を徹底利用したことに尽きる。小池は安倍政権の無策に対し「緊急事態宣言」を要請し休業協力金支給など都独自策を出し、連日メディアに出続けた。都民の税金を使った選挙活動であった。出口調査で約6割が小池の「コロナ対策を評価」という状況が作りだされた。

 しかし、感染急増の中、宇都宮陣営は、小池都政が感染実態を小さく見せ検査・医療に財政を投入せず命をおびやかしていると批判し、生存権守れ≠争点化して得票を伸ばした。

市民選対が始まった

 当選には至らなかったが、今後につながる大きな財産を手にしている。都内25の小選挙区ごとに市民と野党(立憲、共産、社民など)が協力する市民選対が作られたことだ。来る総選挙への土台を築いた。MDS(民主主義的社会主義運動)も知事選と都議補選を地域から全力でたたかった。

 政策も、コロナ対策―検査・医療・補償への財政出動、病院・保健所の統廃合に反対―など反新自由主義の要求が共通のものとなった。宇都宮候補のコロナ緊急対策、都政総合政策は、都・区市町村の自治体変革要求の指針となるものだ。

 れいわとの統一候補擁立が不調に終わった教訓は、政党間の協議に任せたのでは共闘は構築できないことだ。市民による地域からの統一候補擁立運動こそ強めなければならない。

 同時に行われた日野市の都議補選では、自公と野党共闘が1対1の構図となり、共産党候補の得票率は42・9%に伸び、自民候補の57%に迫った。共闘こそ来る総選挙への道筋となる。

安倍政権は不信任

 政権与党内からは、「コロナ禍では現職有利」「野党の乱れのうちに総選挙」との動きが出始めている。

 だが、コロナ危機を利用し政権と距離を置いて支持を取りつけた小池と、国家私物化と無策を批判されている安倍とでは事情がちがう。安倍政権は、依然として不支持が50%以上、支持30%台と不信任状態なのだ。出口調査では約95%がコロナ感染急拡大に不安を感じている。検査・医療拡充をせず、解雇3万人超えや生活破壊を放置する安倍政権は即時退陣しかない。

 イージスアショア中止に続き軍事費削減、カジノやオリンピック中止、コロナ対策の抜本的拡充をかかげ、地域からの共闘運動をひろげなければならない。都知事選はこのことを改めて明確にした。

  (7月6日) 
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