2020年07月17日 1633号
【コロナ休業600万人の衝撃 犠牲は女性 非正規に 今こそ解雇禁止だ】
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コロナ解雇3万人
6月30日、総務省が発表した5月の労働力調査では、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、完全失業者数が前月比19万人増の197万人と3年ぶりの水準に悪化した。厚生労働省は7月2日、新型コロナに関連した解雇や雇い止めが見込みを含めて1日時点で3万1710人になったと明らかにした。6月4日に2万人を超えてから約1か月で1万人の増加。政府が緊急事態宣言を全面解除した後も、雇用情勢の悪化に歯止めがかかっていない実態が浮き彫りになった。
緊急事態宣言下での完全失業者、完全失業率などの政府データは当てにならない。「ステイホーム」が叫ばれ、求職活動がいっそうままならない人が増えていたからだ。実際に失職していても、労働力調査の調査期間中(月末1週間)にハローワークを訪れたり、求人先に連絡するなどの求職活動をしていなければ完全失業者には数えられない。
全産業に及んだ休業
これに先立つ4月の労働力調査結果は、完全失業者の動向以上に、およそ600万人という休業者の激増が衝撃を与えた。
4月の休業者は597万人、3月249万人の2・4倍、前年同月比では3・4倍。5月の休業者も423万人となお膨大だ。
中小企業だけでなく、大企業も雇用調整助成金を使って社員を一時帰休させるケースが増えている。日本経済新聞の調査によれば、大企業98社のうち、「雇用調整助成金を活用する」または「活用を検討する」と回答した企業が50社に達した。ここにはホンダ、マツダ、ローソン、小田急百貨店、ANA、JR西日本など代表的な大企業が含まれる。同紙は、企業が内部にかかえる多数の「潜在失業者」が顕在的失業に転化する可能性に言及している。
コロナ危機が長期化する中、企業との雇用関係は維持されているものの仕事ができない休業状態の労働者が急増している。中小企業では、休業手当が支払われていない事例が多い。
今回のコロナ危機による休業者は、政府の緊急事態宣言や自治体からの要請を受けて営業を停止した飲食サービス、スポーツジム、イベント業者、宿泊施設、バス・タクシー業界などをはじめ、製造業を含めあらゆる産業に広がっている。特に宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業では雇用者の3割近くが休業状態に追い込まれている。休業者の産業別構成を見ると宿泊業・飲食サービス業、卸売・小売業の両産業で200万人(4月)に上り、製造業がこれに続く。

休業から失業の危機
従来、休業者は正規雇用の方が非正規より多かった。だが、4月以降の数字は非正規雇用が正規雇用や自営業、役員の休業者を圧倒している。これは卸売・小売業を含む消費関連サービス部門の多くの企業が営業を縮小したことがかかわっている。こうした部門は非正規比率が高いからだ。
中でも女性の4月休業者は男性240万人の1・5倍に上る357万人。さらにその6割216万人が非正規雇用だ。コロナ危機は、非正規雇用の女性総数1397万人の6人に1人を休業状態に追いやった。
また、4月休業者中174万人が有期契約。期限切れを理由に雇い止めされる可能性も高い。総務省によれば休業者のうちすでに5月で7%が失職(6/30日経)との報道もある。
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600万人休業は恐るべき規模の解雇・雇い止めの危険性をはらんでいる。正規・非正規、性別、国籍を問わず、休業手当を支払わせ、コロナ危機による解雇禁止を政府に求めよう。イタリアでは解雇禁止を法制化させ、韓国でもとりわけ非正規労働者らが解雇禁止の闘いを展開している。国際連帯で、すべての解雇を許さない闘いを強めよう。 |
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