2020年07月17日 1633号

【都知事選 宇都宮さん84万票余を獲得/10代20代の支持に厚み 次の希望につながる/根を張って地方政治を変える】

 東京都知事選挙が7月5日、投開票された。現職の小池百合子候補が366万票余で再選。市民と立憲民主・共産・社民各党が推す宇都宮健児候補は84万4151票で次点となった。

 午後8時すぎ、四谷の選挙事務所に姿を見せた宇都宮さんは冒頭、熊本の豪雨災害被災者にお見舞いの言葉を述べた後、選挙戦をこう振り返った。

 「市民運動や市民団体の多くの方から支援いただいて、17日間闘ってこれた。市民選対を中心に多くのボランティアの方にも助けていただいた。コロナ感染拡大の中で制限を受けた選挙だったが、コロナ対策・オリンピック・カジノ誘致など争点は明らかにできた。これからも都政を監視する運動を続けていきたい」

 敗因についての質問には「私たちの主体的な力が及ばなかった。まだまだ運動が足りなかった」と答える一方、「現職が毎日メディアに出て発信している中、街頭宣伝やネット配信だけでは争点が有権者に十分届かない。異常なことに、テレビ局から1回もテレビ討論のオファーがなかった。過去の都知事選ではいずれも4〜5回は行われたが」と選挙報道を批判。

 有権者の反応に関連して「都民はコロナ災害のもとで収入が減り、仕事をなくし、住まいを失うなど深刻な問題を抱え、命と生活を脅かされているのに、そのうめき声が都政に聞こえていない。小池さんは都庁から外に出て直接話を聞き、風通しのよい都政をつくってほしい」と求めた。

自治体は民主主義の学校

 今後の決意を問われた宇都宮さん。「47都道府県と1741市区町村のあり方について住民がもっと関心を持つ運動が必要だ。民主主義の学校である自治体の議会を傍聴することから変える。戦後75年たって現在の状況だから、全部変えるにはあと75年かかる。地方政治をしっかりそこに根を張って変えていく取り組みが重要」と語った。

 記者会見はネットで同時配信され、書き込みに「この都知事選はきっと次の希望につながる」「市民の運動が都政をつくる原動力」「宇都宮さんのおかげで目が覚めた若者が多くいた」「(出口調査で)10代・20代(の支持)が70代以上に次いで多かった。これ大きい」「主権者を育てる教育、大事ですね」といった言葉が相次いだ。

  *   *   *

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)メンバーも電話かけで宇都宮さん支持を広げた。4日までに4178世帯に電話し、投票確約・前向きの応答は1067件に到達。

 都内の新規感染者が2日から連日100人を超えたこともあり、「東京アラートって何だったんだ」「小池さんは無策」など都のコロナ対策を批判する声が多く聞かれた。宇都宮さんの政策を紹介し、「アメリカで言えばバイデンさん?」「いえ、サンダースさんです」と会話が弾むことも。「選挙には行かない」「宇都宮なんて知らない」と言っていた人が「あなたが薦めるなら」と投票を確約する例も少なくなかった。

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS