2020年07月24日 1634号

【沖縄辺野古 座り込み7年目に突入 現地で市民の怒り増大 政府自民内に亀裂生む】

座り込み2193日

 7月7日。この日は、辺野古の新基地建設工事が始まりキャンプ・シュワブ前の座り込みを開始した2014年7月から丸6年、2193日目となる。大浦湾の瀬嵩(せだけ)の浜では、七夕になると乳白色の天の川が夜空に輝く。しかし、埋め立て再開でとても美しい星空どころではない。

 新型コロナウイルスと県議選で工事は止まっていたが、6月12日再開から沖縄防衛局は埋め立てを急いでいる。1日にダンプカー約1千台のペースで搬入が行われ、すでに20万台分を超える土砂が辺野古側に投入された。ほとんどが本部(もとぶ)町塩川港と名護市安和(あわ)桟橋から海上搬送されたものだ。辺野古側では約4割の海面が埋め立てられ、赤土の上に泥土改良剤がまかれた。

 辺野古ゲート前からの搬入では、護岸建設に使用する生コンクリートと鋼材が増えている。護岸の周りに置くテトラポッド製造用の生コンが構内に搬入され、1日に50個程度が造られている。辺野古崎の護岸を高さ8bにするため現在4bの護岸上に鋼材を組み立てさらにL字型の底盤を固定する新しい段階に入った。

 イージスアショアを白紙撤回しても辺野古は何が何でも強行する安倍政権に、県民、現地行動の市民の怒りはさらに増幅する。

コロナ感染対策も無視

 座り込み7年目に入った翌7月8日、ゲート前の沖縄県警機動隊に異変が起きた。新しく着任した小隊長が、6年間の闘いの中で市民と機動隊との間で培われてきた無言の約束事≠ことごとく反故(ほご)にし、強硬策一辺倒に変わった。

 コロナ感染症対策で、座り込む市民も機動隊のごぼう抜きの前に自主的に移動するようになっていた。それがわかって機動隊側も移動するよう通告を行い、市民の移動が終わるまで待機していた。ところが新小隊長は、車両がゲート前に到着するやいなや市民の前に立ちふさがり、排除を強行してきたのだ。

 現場にいた山城博治沖縄平和運動センター議長がすぐに声を上げた。「過剰警備はやめなさい。現場をこれ以上荒らさないで。なぜ昨日までのようにしない?そんなに近づくとコロナで危険だろう。機動隊、離れて風を通して」

 この日、初めて普天間基地など米軍内でのクラスター発生が発表され、中部の市民から県内で2か月ぶりの感染が見つかっていた。

 ただちに抗議のシュプレヒコール。「抗議を認めろ」「過剰警備はやめろ」。沖縄平和市民連絡会の上間芳子さんも小隊長に詰め寄る。「あんたが今しようとしていること、わかってんの」。怒りは収まらない。車両が構内に入った後もコールは続く。「ダンプの運転手さん、辺野古の海を壊さないで」「どうか被災地で働いてください」「被災地の救援に行って」「安倍のために働かないで」

 梅雨が明けた沖縄は真夏の暑さだ。国道329号線の路面温度は38度を超え、県内外から駆けつけた約40人の参加者は、みなマスクも汗でびしょ濡れ状態の座り込みを続けている。

元防衛相中谷の来沖

 イージス・アショア配備中止を受けて辺野古新基地についても言及した中谷元(げん)・元防衛大臣が7月3日、沖縄に来た。玉城デニー知事との会談では、辺野古新基地を軍民共用空港にすると言い、埋め立てず「メガフロート」という海上に浮かべる工法を告げるなど、1997年当時の「合意」とされた内容を持ち出した。だが、その後発言を撤回。明らかに揺れている。

 これは、軟弱地盤と活断層の存在で政府与党・防衛省内部でも新基地建設工事をこのまま進めていいものか、意見の分岐が始まったことを示すと、ゲート前リーダーの多くが語る。

 完成不可能な辺野古新基地建設計画は、市民の闘いで断念させることができると今まで以上に見えてきた。もう少しだ。がんばろう。 (N)  



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