2020年07月24日 1634号

【電通に税金が流れるカラクリ/政権の謀略宣伝の見返り】

 「持続化給付金」支給事業をめぐる疑惑をきっかけに、政府が多数の事業を広告大手の電通に任せていた実態が明らかになった。

 持続化給付金の事務事業は、一般社団法人サービスデザイン推進協議会が769億円で受託。その後、委託費の97%にあたる749億円で電通に再委託された。さらに電通はグループ会社を通じて人材派遣大手のパソナなどに外注をくり返していた。

 この「多重下請け」により、電通とグループ会社は計107・5億円を「中抜き」した。コロナ禍の被害者救済に使われるべき税金が掠め取られたのだ。そもそも、サービスデザイン推進協議会は活動実績がまったくない。それなのに過去4年間で、経済産業省から14件の事業を計1576億円で受託し、多くを電通に再委託していた。つまり、電通のトンネル団体だったということだ。

 電通は同様のやり方で多くの政府事業を受注してきた。電通に利益が転がり込むような仕組みが作られているのである。厚遇の背景には、政府・自民党との癒着構造がある。

 第2次安倍政権の発足以降、政府広報費は増加の一途をたどっており、2020年度は85億円に膨れ上がった(民主党政権時から倍増)。この費用の約半分が電通に流れている。

 政府のネット戦略にも深くかかわっている。4人いる内閣官房「広報調査員」のうち1人が電通から採用され、首相官邸のSNS運営を担っている。また、大きな選挙の際や対立する政治課題が持ち上がったときには、世論の動向分析や対策なども行っている。

 このように電通は安倍政権の謀略宣伝部隊の役割を果たしている。その見返りに、公共政策ビジネスという巨額の儲け口を提供されているというわけだ。
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