2020年07月31日 1635号

【1635号主張 コロナ禍から命を守ろう 医療を新自由主義から解放する】

財政支出を拒む

 新型コロナウイルス感染者数は東京を中心に増加が続いている。これに対し、政府は観光支援策とするGoToキャンペーンから東京発着を除外するとしただけ、小池東京都知事は「いかに重症者を出さないかが重要だ」と言うだけだ。

 今緊急に必要なことは、PCR検査態勢の大幅拡充、感染拡大に対応する病床や医療従事者などの確保、そのための財政出動である。

 多くの病院が患者が減り深刻な赤字となった。コロナ危機で奮闘した医療従事者の給料、一時金削減の動きが強まっている。東京女子医大では400人の看護師が退職するとまでいわれた。直ちに医療従事者の賃金引き上げへの支援が必要だ。フランスでは、医療従事者に対する賃上げのために政府が80億ユーロ(約9730億円)の支出を決定した。これにより給与は平均月183ユーロ(約2万2千円)増額される。

 しかし安倍政権は、医療機関、医療従事者への財政支出をしようとはしない。小池都知事もGoTo批判はするが、医療への財政支出は強化しない。吉村大阪府知事も同様だ。市民は自己責任での自衛≠強要されようとしている。

グローバル資本のため

 安倍政権は、見当はずれのコロナ対策を繰り返してきた。1兆7千億円規模のGoToキャンペーンはでたらめの極みだ。「これで感染が拡大すれば人災だ」(宮下青森県むつ市長)と強い批判を浴びた。朝日新聞世論調査では開始に反対が74%に上る。

 安倍はなぜコロナ対策で間違いを犯し続けるのか。

 それは市民の基本的人権、命と暮らしを守るのではなく、グローバル資本と支配階級の利益のためにコロナ対策を提案してきたからである。個人補償を拒む一方、株価つり上げや大企業の金融支援に膨大な政府資金が投入された。電通への丸投げもその一環だ。この安倍政権の政策を決めているのは、今井首相補佐官、新原(にいはら)経済産業政策局長など経産省出身官僚である。新自由主義を体現し、グローバル資本とそれを支える資本家、政治家、官僚の利益のために政策を進めている。

危機克服し社会を変える

 命を守ることを最優先し、何より医療体制の確保のために必要な財政支出を求めなければならない。

 MDSは「コロナ危機を克服し社会を変える18の政策」を発表した。「製薬資本、医療機器資本を国有化し、必要な薬と医療機器を安定的に供給できる体制を作る。大病院を国有化・公営化し、必要な医療サービスをすべての人に提供する」と訴えている。

 利潤原理では社会が必要とする医療を提供できない。新自由主義と決別し、民主主義的社会主義を展望する医療体制の抜本的整備拡充を進めよう。

  (7月20日) 
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